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2010年12月6日

帝塚山大学・帝塚山大学奈良学総合文化研究所公開講座「奈良学への招待IX」

帝塚山大学ならびに帝塚山大学奈良学総合文化研究所公開講座は、「奈良学への招待IX」を、10月~12月の土曜日に、計4回開講しました。

赤田先生.JPG10月9日に開講した初回は、人文学部の赤田 光男教授が担当し、「南都の舎利信仰」という演題で講義を行いました。

講義では、興福寺大乗院主尋尊が記した『大乗院寺社雑事記』を主史料として、15世紀中の南都の舎利信仰の状況について考察するとともに、舎利信仰が室町時代にはどのように展開していたのかについて、スライドを交えながら紹介しまた。講座には、93名の一般の方が参加し、受講者からは、「中世の人々の信仰、世界観がわかった。」、「南都や地方の仏舎利信仰の歴史と拡がりが理解出来た。」といった声が寄せられました。

 

 

谷山先生.JPG11月13日に開講した第2回は、天理大学 文学部教授の谷山 正道氏をお招きして、「豊臣政権と大和」という演題で講義を行いました。

講義では、「寺社王国」と称される大和国において、中世から近世への移行を推し進めた小田政権とそれを受け継いだ豊臣政権に焦点をあて、天平13年(1585年)の豊臣秀長(秀吉の異父弟)の大和郡山への入部移行、豊臣政権下の大和国において、どのような形で近世的な支配秩序が形成されていったのかについて、史料をもとに紹介しました。講座には、116名の一般の方が参加し、受講者からは「中世の奈良をあまりよく知らなかったが良く分かった。」、「大和郡山の歴史的な背景を知ることが出来た。」「身分制変化や税制について面白いご説明。」などの声が寄せられました。

 

11月27日に開講した第3回は、大阪市立大学 大学院 文学研究科教授の村田 正博氏をお招きし、「天の香具山」という演題で講義を行いました。

村田先生.JPG講義では、数多く編纂された「萬葉集」の初期の面影をとどめる第一巻の中で、「香具山」を詠む作品が枢要の位置を占めていることにふれ、具体例として、舒明天皇の国見歌(第2番)、持統天皇による夏到来の歌(第28番)、佚名氏による藤原の宮の御井の歌(第52・53番)を紹介し、これらの作品の精読することで、初期および盛期萬葉の時代(いわゆる第Ⅰ期・第Ⅱ期)における「香具山」を詠むことの意義について考察しました。

講義には、85名の一般の方が参加し、受講者からは、「万葉のなかの天の香具山について、その背景を含めた講義は大変興味深く、また、面白く聴けた。」、「萬葉集20巻あることは知っていたが、その内容を詳しく知ることが出来た。続けて開催して頂きたい。」といった声が寄せられました。

 

12月4日に開講した最終回は、人文学部の関根 俊一教授(奈良学総合文化研究所所長)が担当し、「奈良時代の祈りと“場”」という演題で講義を行いました。

関根先生.JPG講義では、奈良時代は仏教文化が大きく花開いた時であるとともに、中国からもたらされる「密教」の祈りが次第に浸透しつつあった時期であることを指摘し、奈良時代後半期を中心に、密教的な儀礼の諸相を考察しつつ、そうした儀礼がどのような“場”において実践されたのかを考えるとともに、そうした“場”で祀られた尊像や使用された仏具類について言及しました。

講義には、108名の一般の方が参加し、受講者からは、「個々の仏像でなくマクロに真言密教のことが大変興味深かった。」、「古代仏教の発展について大変興味を感じた。」といった声が寄せられました。