研究・社会貢献

考古学研究所

MENU

2014年11月11日

【今年も「古代瓦づくり体験」に行ってきました!】

 11月8日、秋晴れの空のもと、「古代瓦づくり体験」の学外実習を行いました。学外実習は日本文化学科の体験型授業です。この実習は実際に古代の瓦づくりが体験できるもので、毎年、実施しています。今年は本学の学生とともに、本学附属博物館との共催展示(「一片の瓦から-東アジアをみる-」11月30日まで)を開催中の吹田市立博物館で応募された一般の方々を含む、総勢20名で古代の瓦づくりにチャレンジしました。

 実習で訪問したのは、本学にも近い奈良県生駒郡平群町にある山本瓦工業さんです。毎年、実習でお世話になっています。同社の山本清一会長は東大寺、法隆寺、唐招提寺、正倉院、平城宮大極殿・朱雀門などの修理や復原に関わる瓦の制作に携わっておられる、古代の瓦職人に一番近い職人さんです。

 実習ではまず、山本会長から飛鳥時代から江戸時代にいたる各時代の瓦の特徴や瓦づくりの道具についてのお話を聴きました。実際に瓦や道具を前にしてのお話は、とてもわかりやすいものでした。

 つぎに、職人さんによる古代瓦づくりの実演です。今回は平瓦と丸瓦の制作を実演していただきました。瓦をつくる工程には、素材である粘土をこねる作業、出来上がった長方形の粘土の塊から粘土の板を糸で切り取る作業、粘土の板を円筒形の木枠(桶という)に巻き付ける作業、木枠から円筒形の粘土を外す作業などがあります。そうした古代の瓦づくりならではの作業をスムーズにこなされる職人を、学生も熱心に見入っていました。

 その後、いよいよ瓦づくりです。軒丸瓦(建物の軒先にある文様をもつ丸い瓦)の文様部分(瓦笵という)づくりにチャレンジしました。軒丸瓦の文様部分は、文様の彫られた型に粘土を詰めてつくります。型には古代に流行した蓮華文や「せんとくん」(奈良県のイメージキャラクター)の文様が繊細に彫刻されています。上手に粘土を詰めなければ、文様ははっきりと浮かび上がりません。

 参加した学生は時間も忘れ、職人さんのご指導のもと、試行錯誤、瓦をつくっていました。なかには、職人さんでも難しい平瓦の制作にチャレンジする学生もいました。ほぼ一日にわたった実習でしたが、瓦づくりを体験した学生は、瓦づくりを楽しむなかで、その難しさも感じ取ったことでしょう。博物館で瓦を目にするとき、それまでとは違った輝きを感じるのではないでしょうか。

 実習でつくった瓦は工場で焼いていただき、その後、学生の手元に届けられます。

瓦づくりにチャレンジする学生

職人さんによる瓦づくりの実演

お世話になった山本瓦工業・山本清一会長