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2022年9月29日(木)

イベント・講座

令和4年度 第1回FDフォーラム「学生を巻き込む教育」を開催しました

3Dレプリカの獅子頭への彩色 【獅子頭里帰りプロジェクトより】

本学は「実学の帝塚山大学」を標榜し、将来的に地域の発展を担う学生を育成するため、教育研究活動の成果を地域社会に還元することを目的とした多種多様な地域連携・産学官連携プロジェクトを推進しています。 コロナ禍で対面での活動が制限を余儀なくされるなかでも、本学では、ICTツールを活用するなどの工夫を重ね、地域の課題解決を主眼としたプロジェクト型学習を推進してきました。 これまでのプロジェクト型学習の経験知やノウハウを共有し、今後の学部教育に活用することを目的として、9月20日、令和4年度の第1回FDフォーラムを「学生を巻き込む教育」と題して開催。プロジェクト型学習の導入や展開方法について、多くの教職員が意見交換を行いました。 今回のFDフォーラムでは、全学教育開発センターの岩井洋教授がコーディネーターを務め、各キャンパスからプロジェクトの実践例が1例ずつ紹介されました。学園前キャンパスからは中地展生教授(心理学部)による「心理教育アプローチによるストレスマネジメント教育」について、東生駒キャンパスからは高田照世教授(文学部)からは「獅子頭里帰りプロジェクト」について、プロジェクトにかかわった学生も交えての報告がありました。 中地教授は、心理福祉学部から始まったプロジェクト型学習の歴史を振り返り、「学部で長く取り組んできたさまざまな教育活動研究の成果やノウハウの蓄積」や「プロジェクトにかかわってきた上級生から下級生へのサポートなどの人的なつながり」が今の活動に結びついているとの考えを述べました。また、プロジェクトを「学生の想いを形にしていく教育」と位置づけ、実践の場や発表の場を提供する機会としていること、指導面においては、学生には企画書を書かせて考えを人に伝える文章力を養うように心がけていることを話しました。

中地教授の報告の後に、若崎類さん(心理学部4年)から、先日の奈良県の未来事業提案で最優秀賞を受賞した「子どもたちの心の健康をサポートする~心理教育アプローチの活用」について発表がありました。同提案は、学校でのいじめやうつなどの問題に「心理教育」によるアプローチを行うというもので、来年度から奈良県で事業化される予定です。若崎さんは、プロジェクト活動が自分の自信になったとし、さまざまな人との協働を通して、他人の得意分野を理解してチームでものごとを進められる力が身についたと感想を述べました。

【関連ニュース】
2022年度「県内大学生が創る奈良の未来事業」で心理学科の提案が最優秀賞を獲得  https://www.tezukayama-u.ac.jp/news/2022/2022/

高田教授からは、獅子頭里帰りプロジェクトにおける山口県柚木村との連携について説明がありました。同プロジェクトは、コロナ禍のために研究フィールドワークに行けなかった昨年度、学生と院生が博物館実習で使用されていた本学所蔵の獅子頭を研究対象としたことから始まったものです。学生がおもしろいと感じるテーマを研究として深化させていった結果、獅子頭の3Dレプリカ化、「令和の獅子頭」開眼式の開催や山口県での展示出展など、多方面へとプロジェクトが大きく進展していった経緯が紹介されました。同プロジェクトにかかわった四倉健太郎さん、阿久津遥紀さん(ともに文学部4年)も登壇し、コーディネーターの岩井教授の質問に答える形で、山口と奈良を結んだ獅子頭について説明しました。

【関連ニュース】
200年の時を超えて、兄弟獅子が故郷で再会 。3Dモデリングによる「令和の獅子頭」の開眼式 https://www.tezukayama-u.ac.jp/news/2022/200-3d-63/
大学通信51号P21 https://www.tezukayama-u.ac.jp/aboutus/public/pdf/daigakutsuushin/no51.pdf

高田教授も中地教授と同様に、プロジェクト経験者が下級生をサポートできたことが成功の要因のひとつであると分析。また、今回のプロジェクトの効果として、異なった学問分野や学年の学生が集うことにより、多様な視点やアイデアに触れることができたこと、学生の隠された才能に気づくきっかけとなったことなどを挙げました。高田教授は、プロジェクトの成果は形に残るものにすることが大事であると話し、マスコミへの露出で周囲からの注目を浴びることが学生の自己肯定感の向上につながるとの考えを示しました。

両教授とも、プロジェクト型学習では「学生に任せる部分とそうでない部分の見極めが肝要」であると話し、「プロジェクトの意義は単位や褒賞ではなく、学生の経験値向上にある」と結論づけました。

報告の後には質疑応答があり、プロジェクト型学習の課題や推進方法について活発な意見交換が行われました。

奈良県内小学校におけるストレスマネジメント教育 学生が企画から運営まで主体的に取り組んだ

「子どもたちの心の健康をサポートする~心理教育アプローチの活用」が奈良県主催の未来事業提案で最優秀賞を受賞

3Dレプリカの獅子頭「令和の獅子頭」の開眼式は、山口と奈良を最新技術が結んだ不思議な物語として多くのメディアでニュースになった

山口県での展示の様子 学生が現地入りして準備を行った