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海外留学のすすめ

西川 精秀

国際交流委員会委員
人文学部英語コミュニケーション学科教授

西川 精秀

「かわいい子には旅をさせろ」とは昔から言い伝えられてきた格言である。親に対する教訓のようなもので「子供は甘やかして育てるより、手元から放して辛い経験をさせ、世の中の辛苦をなめさせた方がよい」と広辞苑にはある。

海外留学を単に語学の学習や勉学、そしてもちろん辛い経験、辛苦をなめるなどとつらいことだけに焦点をあてて考える必要はない。楽しいことも、つらいことも、また‘しんどい’ことも、総合して人生の過程でいろいろな経験をした方が良い。しなくても良い経験というのも確かに人生にはあるかもしれない。しかしこと留学経験というもののなかでは、留学する各自が留学の目的をしっかりと理解し、各自の将来に向かって異なった生活や考え方を異文化のなかで経験するということに、しなくても良い経験などと言うものはないように思う。

例えばアメリカでは、子供は18歳になると親元を離れて地元以外の大学に通う若者が多い。日本では子供は一般的に結婚するまでは親元を離れる人は少ない。少しでも早く親離れをして、独立、自立に向かって突き進むという考えがアメリカの家族の考え方の根底にある。決して家族の中での人間関係が脆弱で、冷たいものであるわけではない。アメリカの若者がクリスマスカードなどで自分の気持ちを家族に伝えている様子をみると、現在の日本の若者よりアメリカ人の方が良い意味で家族を意識しているとも言えるような気がする。

帝塚山大学の英語コミュニケーション学科の学生が「中期留学プログラム」での留学中に、はじめて親への感謝の気持ちを覚えた、とコメントしたのは印象的である。いかに日本では親に甘え、大事にされることが当たり前になってしまっていたかよくわかる。また別の学生はマクドナルドの店先にはためく星条旗(アメリカの国旗)をみて、日本のことを真剣に考えるようになったという。

留学して異文化の中で学び、考え方の違いなどの見識を深めるということと、自分が慣れ親しんだ世界で、居心地の良い日本という国の環境のなかで甘えて生活することを比較してみると、将来の個人の展望造りに雲泥の差を生むことは明白である。

将来の発展を考えるのであれば、世界にはばたこうという挑戦心こそ人生そのものであると言えるのではないだろうか。

見識の狭い人をあざけって「井の中の蛙」と言う諺もある。若いうちは、とにかく挑戦、思いきって外を見る姿勢が将来を決するといっても過言ではないと言える。

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