本事業では、奈良県全体を研究のフィールドとする本学独自の「奈良まるごとキャンパス®」構想にもとづき、地域の拠点として「帝塚山プラットフォーム」を構築し、学際的な「奈良学」研究を推進する。「奈良学」は、奈良を研究対象とし、日本や世界における奈良の位置づけを明らかにするものである。産官学との連携による「奈良学」研究を通して地域の活性化や創生に取り組むことで、地域の拠点大学としてのブランドを確立する。
本事業の目的は、奈良県全体を研究のフィールドとする本学独自の「奈良まるごとキャンパス®」構想にもとづき「帝塚山プラットフォーム」を構築して学際的な「奈良学」研究を推進することで、奈良に存在する様々な文化資産や観光資源を再発見し、その成果を広く社会に発信していく取り組みを本学と地域が協働して行うことにより、地域の活性化と創生に結び付けることである。さらに、本取り組みを通じて、奈良県に立地し、地域の振興や情報発信の拠点としての重責を担う帝塚山大学の役割や存在をより明確なものとし、地域における独自性を本学の特色として打ち出すことで、本学のブランドの確立に結び付けていくことをめざす。
本事業で推進する「奈良学」は、本学を設置する学校法人が併置していた帝塚山短期大学(平成12年度に本学組織に組み入れ)の名誉教授・青山茂氏が1980年代に提唱したもので、奈良を対象とした単なる「郷土史」や従来の「日本古代史」ではなく、巨視的な「鳥の目」で全体を俯瞰し、日本の歴史文化における奈良の位置づけを考えるとともに、微視的な「蟻の目」で人々を洞察し、奈良を通して日本全体の歴史文化を考察するというものである。つまり「奈良学」は、様々な世界遺産をはじめとする日本有数の文化遺産を有する奈良独自の地域性を明らかにし、そこから日本全体さらには世界へ、また逆に世界から日本へ、そして奈良へと視野を広げていく学際的な研究を意味する。奈良は、古代日本の中心地域としての側面と中世以降現代に至る日本の一地域としての両側面を有している。ローカルな視点に立脚し、グローバルな視野から世界を見ることが求められる現在、かつて日本文化の中心であり、グローバル都市であった奈良を研究のフィールドとすることに意味がある。また、奈良の地域振興、とりわけ観光分野の活性化においては、現在、奈良が最大の特色としている古代日本の文化遺産のみならず、今までは古代遺産の大きさに隠れ見過ごされがちであった中世から現代に至る特色的事象を再発見、再構築することで、今まで活用されることが少なかった観光コンテンツを実証的根拠にもとづき創出することが可能となる。
本事業で構築する「帝塚山プラットフォーム」では、多くの学内関連機関や研究者・学生と外部のステークホルダーが、情報と人材を共有できる体制を準備する。本取り組みでは、直接現地に出向き、産官学連携等の形態を通して「プロジェクト型学習」の手法を駆使し、奈良県唯一の総合大学という強みを生かして、歴史学、考古学、民俗学は言うに及ばず経済学、経営学、法学、建築学、食物学から教育学までを動員して奈良を総合的かつ学際的に研究する。
「奈良学研究推進委員会」を中心とした「帝塚山プラットフォーム」事業の推進体制の構築
外部評価委員会による年次評価
【目標】従来の研究活動を整理し、「文化財・祭事」、「食文化・伝統産業」、「地域・コミュニティ」の3つの領域について、「実証」に関わる研究および「実践・発信」に関わる取り組みに着手。
【指標】従来の研究活動の実績、個々の研究課題で設定した指標
【目標】研究活動において整理された、これまでの「奈良学」の研究成果を広く公開することで、新たな「奈良学」の再定義に向けた端緒とし、今後のブランディング戦略の舵取りを行う。
【指標】各取り組みの実績総括。
実証
○文化財・祭事
○食文化
○地域・コミュニティ
実践・発信
○奈良学研究を生かした地域活性化人材育成プログラムの策定
○文化財デザイン商品、大和野菜商品、奈良晒の商品開発に着手
○産業遺産である五新鉄道等を活用した観光イベント計画策定
○奈良地域の生活史について小中学校や地域における教育活動実践
○本事業の特設サイトを開設する。
○「奈良学シンポジウム」を開催する。
○本学所蔵の織機を活用した履修証明プログラムを開講する。
○『実学パンフレット(事例集)』第1号を発行する。
○学内のデジタルサイネージで「実学ニュース」を配信する。
○SNSの運用に着手する。(上記取り組みは平成30・31年度も拡充・充実させる)
「帝塚山プラットフォーム」事業の本格的な推進
外部評価委員会による年次評価
【目標】3領域の「実証」研究、「実践・発信」を本格実施する。
【指標】個々の研究課題で設定した指標にもとづき、調査報告書、映像記録、開発商品等の成果物を提示し、積極的に公開。
【目標】各ステークホルダーの特性に応じて情報を精査・発信し、本学のめざす「実学の帝塚山大学」、「奈良学の帝塚山大学」のイメージ浸透を図る。
【指標】各取り組みの実績総括。
実証
○文化財・祭事
○食文化
○地域・コミュニティ
実践・発信
○奈良学研究を生かした地域活性化人材育成プログラムの実践
○文化財デザイン商品、大和野菜商品、奈良晒の商品開発
○産業遺産である五新鉄道等を活用した観光イベント計画・実施
○奈良地域の生活史について小中学校や地域における教育活動実践
平成29年度からの継続した取り組みに加え、以下について実施する。
○図書館において「奈良学」に関する特別展示を開催する。
○附属博物館において「奈良学」に関する特別展示を開催する。
○デジタルアーカイブの構築に着手する。
○「奈良学」に関する公開講座(連続4回)を実施する。
○『奈良学ブックレット』を刊行する。
○『大学案内』において実学特集ページを組む。 (上記取組は、平成31年度も拡充・充実させる)
「帝塚山プラットフォーム」事業の最終総括
今後の方向性の検討、外部評価委員会による最終評価
【目標】3領域の「実証」に関わる研究および「実践・発信」に関わる取り組みを継続実施、一定の成果を示す。
【指標】個々の研究課題で設定した指標にもとづき、調査報告書、映像記録、開発商品等の成果物を提示し、積極的に公開。「奈良学シンポジウム」も開催する。
【目標】年度末時点において、ステークホルダーごとに定めたブランディング戦略の到達目標を達成する。
【指標】ステークホルダーごとの到達目標の達成状況
○「文化財・祭事」「食文化・伝統産業」「地域・コミュニティ」各領域の「実証」および「実践・発信」の総括
平成29・30年度からの継続した取り組みに加え、以下について実施する。
○本事業の集大成となる「奈良学シンポジウム」を開催する。