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2011年9月5日

ミニチュア大学院「名作絵巻を観る」を開講しました

8月29日から3日間に亘って、「通常の講座よりもう少し深く学んでみたい」という方を対象に大学院所蔵資料を使った特別講座、ミニチュア大学院を開講し、2回目を迎える今回は、「名作絵巻を観る」をメインテーマに、大学院人文科学研究科長の関根俊一教授と、清水婦久子大学院教授が担当しました。

初日の29日は、関根教授が、「古写本をめぐって」と題して、講義を担当。コピー機などなく、印刷も一般的でなかった時代は、古文書や記録、資料などを自ら所持しようとすれば、まずは筆写しなければならなかった時代背景にふれ、仏教関係の資料を中心にいくつかの古写本や古写経に触れながら、取扱いを含めた基礎的知識を学びました。参加者の多くが、初めて巻物を触ることもあり、巻物を実際に巻くという体験に四苦八苦しながらも、当時の絵を楽しみながら受講されていました。

30日は、清水教授が「源氏物語絵巻から木版本まで」と題して、講義を担当。まず、国宝源氏物語絵巻と木版本源氏物語絵巻の複製を間近に見て詞書の書体の鑑賞法や絵の見方を指導しました。また、帝塚山大学蔵『光源氏系図』原本を見ながら平安末期の源氏物語享受の一端を学び、教室いっぱいに広げられた古活字版・各種木版本・絵入り版本15種の原本を手に取りながら、近世の出版文化と庶民への普及について学びました。

そして最終日は、再び関根教授が「信貴山縁起絵と仏教文化」と題して講義を担当。日本四大絵巻に数えられる「信貴山縁起絵」について、主として『宇治拾遺物語』に依って話のあらすじを理解し、さらに江戸時代に書写された国宝本の忠実な写本を見ながら、底流にある仏教文化について考察しました。

本講座には、抽選で選ばれた32名の方が参加し、受講者からは、「絵巻に実際に触れることが出来、そこから興味・親しみが湧いた。」、「貴重な資料を手に出来たことが素晴しかった。先生方の熱の入った講義に時間もあっという間に過ぎました。」といった声が寄せられました。