研究・社会貢献

公開講座

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2011年6月20日

帝塚山大学特別客員教授による公開講座「『古事記』に自然の声をきく~海のイメージ~」、「仏像ブームを考える」を開講しました。

帝塚山大学では、千田 稔氏(奈良県立図書情報館館長)、多川 俊映氏(興福寺貫首)に、特別客員教授としてご就任いただき、学外有識者としての立場から、本学の教育・研究活動に関わる種々のアドバイスをいただいています。この春、地域社会への「知の還元」を目的に、今年で23年目を迎える生駒市図書館との共催公開講座を、6月4日、6月18日に開催し、千田氏と多川氏が、講師を務めました。

6月4日に開催された公開講座では、千田氏に「『古事記』に自然の声をきく―海からのメッセージ」。と題して、お話いただきました。講義では、『古事記』には、海のイメージがただようことを指摘し、イザナギとイザナミの国づくりの物語において淡路島が最初にできるのはなぜなのか、高千穂に降臨したニニギノミコトの後の物語が、山幸彦が海神の宮を訪ねるストーリーに展開するのはなぜなのかといった具体例をあげながら、『古事記』の海はどのようなイメージをもつのかについて、お話いただきました。講座には、約400人の一般市民の方が参加し、「”わたつみ”の意味がわかり、長年の疑問がとけました。大満足です。」「『古事記』という神話の本があることは知っていたが、つながりのある物語で形づくられているということは知らなかったので、大変おもしろかった。霊の話は、今回の大震災とつなげられたが、人智の外にある霊のなせる術という話に何かしら感じるものがあり、考えさせられることばでした。」といった声が寄せられました。

また、6月18日に開催された多川氏による公開講座は、「仏像ブームを考える」と題して、仏像ブームを決定づけた平成21年に開催した「国宝 阿修羅展」を踏まえた上で、元来、形あるものを重要視しない仏教がなぜ、仏像なのかということを、仏教2500年の歴史をふり返りながら、仏像ブームについて、お話いただきました。仏像ブームの背景にある深い意味に、約400名の参加者からは、「仏教というものとらえ方の1つとして現代人が佛像というものを希求していることが判りました。」「仏教の一端に触れた気がしました。多川首貫の、静かな語り口と深い知に聞き入りました。」といった声が寄せられました。