ニュース

2025年6月20日(金)

プレスリリース

【プレスリリース】戦後80年 戦争の記憶を未来へ 平和学を学ぶ学生が戦争体験を絵本化  戦争体験者への聞き取りを6/23(月)実施

帝塚山大学(学長:奥村由美子、奈良市帝塚山7-1-1)法学部の末吉洋文教授のゼミでは、戦後80年を迎え る本年、戦争の記憶を郷土の学びとして未来へ伝える「戦後80年プロジェクト」を始動しました。その中心的な取り組みとして、戦争体験者への聞き取りをもとに絵本を制作する活動に着手します。戦 争の実体験を記録として残すとともに、子どもたちが自らの住む奈良の歴史を学び、平和の尊さに理解を 深める教材づくりをめざしています。

初回の聞き取り調査は、2025年6月23日(月)15時30分より、ホテル尾花(奈良市高畑町1110)にて実施。 戦中・戦後の体験を語るのは、同ホテルの会長である中野重宏氏(1928年生まれ)。末吉ゼミの学生4名が体 験を聞き取ります。 中野氏の証言を、末吉ゼミの学生が物語として構成し、教育学部の絵本専門士である徳永加代教授の助 言を仰ぎながら、子どもたちにも伝わる絵本に仕上げます。挿絵は、プロジェクトの趣旨に賛同した五條 市在住のイラストレーター・とうこ氏が手がけ、2025年度内の刊行を予定しています。  

完成した絵本は、小中学校における平和学習の教材として活用するほか、教育学部の認定絵本士による 地域での読み聞かせ活動にも使用する予定です。また、奈良県立図書情報館への寄贈も視野に入れてお り、地域の歴史史料としての役割も果たしたい考えです。

【プロジェクトの背景】
末吉ゼミでは2021年度より、奈良県内の戦争遺跡や戦中の痕跡をたどるフィールドワークに取り組ん でいます。2022年に行ったフィールドワークの際に、中野会長から直接伺った臨場感を伴う談話が、今回 の絵本化プロジェクトのきっかけとなりました。  

中野氏の談話は、  
•愛知県の軍需工場での学徒動員  
•奈良から香芝までの徒歩による軍事教練  
•奈良の空で方向転換するB29の目撃  
•生駒の山側の空が赤く染まった大阪大空襲  
•興福寺に避難していた学童疎開の子どもたちが、空襲で燃え上がる大阪の空を見て泣いた光景  
•空襲の翌朝、焼け残った紙くずが空を舞うなか、大阪から奈良へ避難する人々の行列
などに及び、確かな記憶力に裏付けられた深い臨場感を伴うもので、学生たちの心に強く残りました。  
奈良の「戦争の記憶」を、決して風化させることなく、地域の子どもたちに「郷土の歴史」として伝えた い̶。そして、今の奈良の平和と発展の礎には、こうした過去の悲劇と、それを乗り越えた人々の努力があ ることを知ってもらいたい̶。その思いが、この戦後80年プロジェクトの出発点となりました。

【今後のスケジュール(予定)】
1.聞き取り調査の実施
 日時:2025年6月23日(月)15:30~
 場所:ホテル尾花(奈良市高畑町1110)
 出席:中野重宏氏(ホテル尾花 会長)、中野聖子氏(ホテル尾花 社長)
    末吉ゼミ学生4名(3年生)、末吉洋文教授
2.体験談の物語化(2025年6月~9月予定)
 学生による文章構成と草稿制作、徳永教授による指導
3.挿絵制作
 イラストレーター・とうこ氏との打ち合わせを随時進め、制作
4.絵本の刊行(2025年3月までに完成予定)
5.平和・郷土学習での活用
 小中学校での平和教育・郷土学習教材として使用
 教育学部 認定絵本士による地域での読み聞かせ活動
 奈良県立図書情報館などへの寄贈を予定

報道発表全文はこちら