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2012年2月28日(火)

イベント・講座

帝塚山大学人間環境科学研究所公開講座 「実験という手法の異分野交流」を開催しました

 

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2月18日に開催された人間環境科学研究所主催公開講座は、経済学に「実験」という手法を取り入れたケースに着目し、「実験」をテーマに開催しました。

講座は、「実験経済学という研究分野があります。同じ学部に心と運動についてやはり実験という手法を取り入れていろいろ面白いことをやっている人がいます。こんな話を小耳にはさんで、実験という手法を鍵にして何か面白いことができないかと考えていた時、『実験好きといえば山本学長だ』と気づき今回の企画が出来上がりました」という大久保純一郎人間環境科学研究所長(心理学部教授)の挨拶を皮切りに、3人の講師が3時間にわたってそれぞれの「実験」について報告をしました。

 まず、田中美史経済学部講師が、「ヒトの運動制御機能に対する心の影響の実験」と題し、専門の「スポーツ心理学」の研究に取り入れた実験手法を紹介しました。

プレッシャーを与えた条件下では、ゴルフパッティングの動作が小さくなり、電子ペンを使用した書字では、筆圧が高く書字時間が長くなるなど、プレッシャーにより動作や力のエネルギー効率が悪化することを動画などでわかりやすく説明しました。

 竹本亨経済学部准教授の「労働が寄付行為に与える影響に関する経済実験」では、自分の利益追求を第一に、合理的な行動を選択するという“経済人”を伝統的経済学は仮定してきましたが、現実の人々がその通りに行動するのかを実験により検証する「行動経済学」を紹介しました。

“経済人”であれば富の再配分や寄付の必要性を排除する状況でも、実際は、政府による再配分が支持されたり寄付が行われたりと理論が予想した結果と異なっています。そのような寄付において、理論的には影響を与えないはずの寄付をする側またはされる側の労働が、寄付の金額に与える影響について実験から導き出された法則を説明しました。

山本良一学長は「植物生理学の実験」と題し、長年の研究における実験手法を紹介。実験は、対照実験と本実験の“差”が要因の効果であり、何度も同じ実験を行うことで確実な結論を得ることができる。“何を知りたいために実験を行うのか”を考えていることが充実した時間であり、実験の結果と更に実験を考えることの連続である、と説明しました。また、40年前から使用している測定装置やコンピュータとプログラムなどの変遷を写真で紹介しました。

 最後に、少数ながら参加された熱心な一般市民の方、研究所員からのさまざまな質問、意見に対して、各講師が丁寧に答えました。

 

竹本先生の発表の様子

田中先生の発表の様子