学長、帝塚山大学

2021年12月23日

第25回 教育学部 ~「音楽教育」を支える楽器と施設

今年(2021年)最後のエッセイは、教育学部で実践されている音楽教育を支える楽器と施設を取り上げます。学生の皆さんも、幼い頃に、幼稚園や保育園、あるいは小学校で先生達と一緒に童謡を歌ったり、リズム体操をしたり、楽器を演奏して楽しい時間を過ごされた思い出があるでしょう。そうした音楽教育を支えるのが保育士、幼稚園教諭、小学校教諭という先生方です。ですから、教育学部では、教育学の学問的な授業とともに、幅広い教育技術の実習が行われています。そして、音楽教育は、そうした実習の中でも中核をなす分野の一つであり、本学でも力を入れています。
今回の専門アドバイザーは、音楽教育がご専門の宮田知絵准教授です。宮田先生はプロの声楽家であり、ソプラノ歌手として各地でコンサート公演などの演奏活動をされています。
日本の童謡や小学校唱歌の数々は、言うまでもなく、私たち一人ひとりの記憶に刷り込まれています。「春がきた」、「虫の声」、「夕焼け小焼け」など、人々の暮らしに寄り添ってきた歌の数々を、宮田先生が著作『故郷 ふるさと 音楽教育 小学校で学ぶ歌 全二十四曲』としてまとめられています(宮田,2014)。確かに、私自身、一つひとつの歌とともに、当時の小学校での情景がよみがえりました。先生がいて、友達がいる、懐かしい風景でした。「ひらいた ひらいた」という歌では、歌詞の中に「れんげのはながひらいた」という言葉があり、私の苗字が蓮花なので、皆が私を見て、くすくす笑うのでいやだなあと思った記憶もあります。それでも、これらの童謡を歌いながら、私たちは、自然に日本の社会文化を理解していったのではないでしょうか。
さて、保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の採用試験では、いずれも音楽実技が重視され、歌うことや、ピアノ実技が必須となっています(深見ら,2007)。そのため、本学の教育学部でも、ピアノ実習の施設が豊富に整備されています。図1の写真は、教育学部のある学園前キャンパス18号館の音楽室です。グランドピアノ(ヤマハC3製造番号6263122)と木琴(斎藤楽器製作所シロフォン 製品番号No.35 製造番号70)、打楽器のボンゴ(Pearlホワイトウッド・ボンゴ レモ・ニュースキンヘッドBG-209WR )などが配置されています。また、多数の学生が同時に実習できる音楽室(図2上)では、30台の電子ピアノ(ヤマハ ミュージックラボラトリーシステムMLA-4 クラビノーバCVP-403)が並んでいて、壮観です。ヘッドフォンを用いて、個人練習ができます。さらに、数名の規模で指導を受け練習ができる音楽室(図2下)もあり、教員のピアノの演奏に合わせた練習が可能です。
音楽教員の研究室を訪れると、専用のピアノ(ヤマハC3自動演奏機能付 製造番号6253722)や楽器スペースがあり、学生に個人レッスンのできる環境が整えられています(図3)。音楽のように個人のスキルに差が大きい分野では、個人レッスンが必要ですし、こうした環境はとても大切です。
集団用の音楽室と同じフロアには、ピアノの個人練習用の個室(図4)が10室あります。練習したいが自宅にその環境がない学生にとっては自習ができるので嬉しいでしょうね。とくに最近では、ピアノ等での「弾き歌い」が資格試験の課題となることも多く(深見ら,2007)、個人練習用の部屋が利用できるのは良い環境と評価できます。上記の施設の全てが防音用の壁となっているので、安心して練習できます。
教育学部では、毎年1月にスチューデント・コンサートと称して、学生たちの演奏発表の機会を提供しています(図5)。大学近くの「学園前」駅に隣接した奈良市西部会館市民ホールを会場に、学生たちは緊張しつつ、教育の成果としての多彩な音楽を奏でてくれます(図6)。
今回のエッセイでは、触れることができませんでしたが、ピアノ以外にも児童教育ではカスタネットやハーモニカ、リコーダー、木琴など、多くの楽器が活用されています。学生時代にこうした楽器を通じて音楽に親しみ、友人たちと励ましあって練習した経験は、社会に出てからも自分の成長を促すきっかけになります。学生たちが、教育学部の施設や楽器を有効に活用して、社会に羽ばたいていってもらいたいと心より希望しています。
参考文献
・ 宮田知絵 『故郷 ふるさと 音楽教育 小学校で学ぶ歌 全二十四曲』(ファウエム・ミュージック・コーポレーション,2014)
深見友紀子・小林田鶴子・坂本暁美 『保育士、幼稚園・小学校教諭を目指す人のために この一冊で分かる ピアノ実技と楽典』(音楽之友社,2007)
赤羽美希著・深見友紀子監修 『たのしい楽器遊びと合奏の本』((株)ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス,2017)
有本真紀・根本愛子・小島千か「義務教育段階の器楽教育に関する調査」,(音楽教育実践ジャーナルvol.7 no.2,48-62,2010)

今年(2021年)最後のエッセイは、教育学部で実践されている音楽教育を支える楽器と施設を取り上げます。学生の皆さんも、幼い頃に、幼稚園や保育園、あるいは小学校で先生達と一緒に童謡を歌ったり、リズム体操をしたり、楽器を演奏して楽しい時間を過ごされた思い出があるでしょう。そうした音楽教育を支えるのが保育士、幼稚園教諭、小学校教諭という先生方です。ですから、教育学部では、教育学の学問的な授業とともに、幅広い教育技術の実習が行われています。そして、音楽教育は、そうした実習の中でも中核をなす分野の一つであり、本学でも力を入れています。

今回の専門アドバイザーは、音楽教育がご専門の宮田知絵准教授です。宮田先生はプロの声楽家であり、ソプラノ歌手として各地でコンサート公演などの演奏活動をされています。

日本の童謡や小学校唱歌の数々は、言うまでもなく、私たち一人ひとりの記憶に刷り込まれています。「春がきた」、「虫の声」、「夕焼け小焼け」など、人々の暮らしに寄り添ってきた歌の数々を、宮田先生が著作『故郷 ふるさと 音楽教育 小学校で学ぶ歌 全二十四曲』としてまとめられています(宮田,2014)。確かに、私自身、一つひとつの歌とともに、当時の小学校での情景がよみがえりました。先生がいて、友達がいる、懐かしい風景でした。「ひらいた ひらいた」という歌では、歌詞の中に「れんげのはながひらいた」という言葉があり、私の苗字が蓮花なので、皆が私を見て、くすくす笑うのでいやだなあと思った記憶もあります。それでも、これらの童謡を歌いながら、私たちは、自然に日本の社会文化を理解していったのではないでしょうか。

さて、保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の採用試験では、いずれも音楽実技が重視され、歌うことや、ピアノ実技が必須となっています(深見ら,2007)。そのため、本学の教育学部でも、ピアノ実習の施設が豊富に整備されています。図1の写真は、教育学部のある学園前キャンパス18号館の音楽室です。グランドピアノ(ヤマハC3製造番号6263122)と木琴(斎藤楽器製作所シロフォン 製品番号No.35 製造番号70)、打楽器のボンゴ(Pearlホワイトウッド・ボンゴ レモ・ニュースキンヘッドBG-209WR )などが配置されています。また、多数の学生が同時に実習できる音楽室(図2上)では、30台の電子ピアノ(ヤマハ ミュージックラボラトリーシステムMLA-4 クラビノーバCVP-403)が並んでいて、壮観です。ヘッドフォンを用いて、個人練習ができます。さらに、数名の規模で指導を受け練習ができる音楽室(図2下)もあり、教員のピアノの演奏に合わせた練習が可能です。

音楽教員の研究室を訪れると、専用のピアノ(ヤマハC3自動演奏機能付 製造番号6253722)や楽器スペースがあり、学生に個人レッスンのできる環境が整えられています(図3)。音楽のように個人のスキルに差が大きい分野では、個人レッスンが必要ですし、こうした環境はとても大切です。

集団用の音楽室と同じフロアには、ピアノの個人練習用の個室(図4)が10室あります。練習したいが自宅にその環境がない学生にとっては自習ができるので嬉しいでしょうね。とくに最近では、ピアノ等での「弾き歌い」が資格試験の課題となることも多く(深見ら,2007)、個人練習用の部屋が利用できるのは良い環境と評価できます。上記の施設の全てが防音用の壁となっているので、安心して練習できます。

教育学部では、毎年1月にスチューデント・コンサートと称して、学生たちの演奏発表の機会を提供しています(図5)。プログラムの中にはハンドベルの演奏もあり、楽しい内容となっています(図6)。

今回のエッセイでは、触れることができませんでしたが、ピアノ以外にも児童教育ではカスタネットやハーモニカ、リコーダー、木琴など、多くの楽器が活用されています。学生時代にこうした楽器を通じて音楽に親しみ、友人たちと励ましあって練習した経験は、社会に出てからも自分の成長を促すきっかけになります。学生たちが、教育学部の施設や楽器を有効に活用して、社会に羽ばたいていってもらいたいと心より希望しています。

参考文献
・ 宮田知絵 『故郷 ふるさと 音楽教育 小学校で学ぶ歌 全二十四曲』(ファウエム・ミュージック・コーポレーション,2014)
  宮田知絵・鈴木慎一朗『こころのうた 唱歌と童謡』(ファウエム・ミュージック・コーポレーション,2019
深見友紀子・小林田鶴子・坂本暁美 『保育士、幼稚園・小学校教諭を目指す人のために この一冊で分かる ピアノ実技と楽典』(音楽之友社,2007)
赤羽美希著・深見友紀子監修 『たのしい楽器遊びと合奏の本』((株)ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス,2017)
有本真紀・根本愛子・小島千か「義務教育段階の器楽教育に関する調査」,(音楽教育実践ジャーナルvol.7 no.2,48-62,2010)

 

図1 教育学部(学園前キャンパス18号館)の音楽室 (上:音楽室の楽器たち 下:音楽室での楽器演奏)(2021年12月撮影)

図2 電子ピアノを配した音楽室 (上:電子ピアノ30台を備えた中規模の音楽室 下:電子ピアノ数台の小規模での音楽指導室)(2021年12月撮影)

図3 音楽教育に適した防音性の高い教員研究室(2021年12月撮影)

図4 個人練習用のピアノレッスン室(2021年12月撮影)

図5 スチューデント・コンサートでの器楽演奏(上:ピアノ伴奏によるサックス演奏 / 下:ピアノ連弾 (2020年1月撮影)

図6 スチューデント・コンサートでのミュージックベルの演奏 (2021年1月撮影)