学長、帝塚山大学

2021年5月17日

第1回 品格のあるキャンパス ~「中央芝生広場」の歴史

コロナ禍でオンライン授業が多くなり、学生の皆さんが大学キャンパスに来る機会も残念ながら少なくなりました。皆さんがキャンパスに来られたときに楽しみにしていただくように、学長の私、蓮花(れんげ)が、キャンパスを彩る建物や施設、文化財や史資料、そして草木などの豆知識を、連載形式でエッセイとして提供していきます。キャンパスに来られたときに、このエッセイの文章を思い出して、登場した施設や場所を探索してください。

さて、記念すべき第1回は、東生駒キャンパスの「中央芝生広場」(図1)です。この広場はどうしてここに存在しているのでしょうか。実は、この場所には、1964年に帝塚山大学が教養学部のみの単科女子大学として開学したときの最初の学舎である1号館がありました(図2)。9階建て(屋上とEV機械室は除く)で阪奈道路からもよく見えるシンボルタワー的な建物でしたが、旧耐震基準の建物であったため2007年(平成19年)に撤去され、その跡地が中央芝生広場になったという訳です。古くからの教職員は、現在の1号館を新1号館、最初のものを旧1号館と呼び分けていますが、今では旧1号館があったことを知らない教職員も多くなりました。

芝生になってしまった旧1号館ですが、その「痕跡」が残っています。6号館を芝生側から眺めると、中央にデッキのように突き出ている構造物があります(図3)。大学祭などで、写真撮影にぴったりの場所ですが、この「デッキ」は、旧1号館と6号館をつなぐ渡り廊下(図4)の痕跡です。旧1号館は取り壊されましたが、渡り廊下の一部が残されたのですね。

また、広場から図書館に向かう途中にあるコンビニの外壁には旧1号館の定礎が残っています(図5)。1965年(昭和40年)6月に竣工されて以来、1987年(昭和62年)に経済学部が設置され、大学が男女共学となってからも、2007年(平成19年)に撤去されるまでの42年間、学生を見守ってきた旧1号館があったことに、時には思いを寄せていただきたいと思います。

【図1】 中央芝生広場(2021年現在)

【図2】 旧1号館(1966年/昭和41年ごろ)

【図3】 6号館デッキ(2021年現在)

【図4】 旧1号館と6号館の渡り廊下での連結(2007年1月撮影)

【図5】 旧1号館定礎