特別展示


第10回 特別展示 「新収の瓦 -西上家寄贈の瓦-」

昨年、西上実氏(奈良県北葛城郡王寺町)から、約180点もの瓦類の御寄贈を受けました。その瓦類は御父君の昇氏が長年かけて収集なさったもので、優品が数多く含まれています。今回の展示では、なるべく多くの資料を展示するようにしました。そして、それらを大和川沿いの寺々、飛鳥地域の寺々、河内・山背の寺々、東国の寺々というように、地域別に展示しました。瓦作りの技術は、寺院造営技術の中ではごく一部しか占めておりませんが、詳しく見てみますと古代寺院建立の状況が見えてきます。 王寺町にある西安寺の軒丸瓦は、蓮弁とパルメットを交互に配置した、他には見られない文様です。この軒丸瓦と全く同じものが、神奈川県横須賀市の宗元寺跡から出土しています。二つの遺跡は、直線距離で約360キロも離れています。そのように離れていてどうして全く同じ瓦が使われたのでしょう。おそらく、大和から寺院造営の技術が伝えられたことを示しているに違いありません。そして、その背後には大きな力が存在していたのでしょう。天武・持統朝に、朝廷が大和川の左右両岸の地域を抑えたことにも関係するのではないでしょうか。
 また、朝鮮半島の珍しい瓦もあります。高句麗と新羅のものが中心ですが、あまり類例の見られないものがあります。どうぞ、日本の瓦との違いをご覧ください。
 最後になりましたが、御寄贈下さいました西上家に厚く御礼申し上げます。
展示/開催期間 平成21年4月21日(火)~ 5月30日(土)
展示解説 4月25日(土)15:45~
5月16日(土)15:45~
【複弁蓮華文軒丸瓦 白鳳】(大和 川原寺)
【複弁蓮華文軒丸瓦 白鳳】(紀伊 上野廃寺)

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