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2022年1月13日(木)

帝塚山大学と心理学(10) 公認心理師への道

平成27(2015)年9月、「公認心理師法」が参議院本会議で可決・成立しました。つまり、心理専門職の国家資格が誕生することとなったのです。この報は心理学界に激震をもたらしました―さあ、公認心理師の養成を検討しなければ!と。平成29(2017)年9月には「公認心理師法」が施行され、いよいよ翌平成30(2018)年から、文部科学省・厚生労働省から認可を得た大学等は公認心理師の養成ができることとなりました。

公認心理師養成のために必要な科目・領域は幅広く、短期間で簡単に設置・開講できるわけではありません。しかし幸いなことに、心理学部は前身の心理福祉学部時代から多様な科目を開講していたこともあり、比較的スムーズに進めていくことができました。

とはいうものの、道のりはそう簡単ではありませんでした。心理学部では平成29(2017)年に「公認心理師ワーキンググループ」を発足させ、科目の設置、実習先の確保、各教員の担当など、何度も会議を重ねることとなります。時には大きな壁にぶち当たりつつも、臨床心理系の教員や担当部署の職員を中心に、さまざまな知恵や工夫を集結し、ようやく形が整ってきました。

そして、平成30(2018)年3月、文部科学省・厚生労働省より、「大学および大学院において開設する科目が公認心理師法施行規則第1、2条に規定する実習演習科目の基準を満たすことを確認した」との回答が得られ、心理学部(そして大学院心理科学研究科)は公認心理師養成カリキュラムを持つ大学(院)として認められたのです。

さて、公認心理師養成に必要な科目は全部で25科目あります。制度的には、とりあえず25科目を開講すれば養成は可能ということになります。しかし心理学部では、ワーキンググループ等の議論の中で「そんな機械的なことでよいのか?」という疑問が沸き起こりました。つまり、「とりあえず、必要な科目だけ履修すればいい」というような中途半端な気持ちの人には、この資格を目指してもらいたくはないということです。

そこでワーキンググループでは、公認心理師は「人と向き合い、人を助ける」職業であり、その認識を明確にできない人に務まる仕事ではないことを確認し、定められた科目以外にもボランティアや地域支援などに関する科目等も修めなければ、演習・実習などの科目の履修を認めないという方針を打ち出しました。この方針は学部の了承を経て、現在に至ります。ここに、本学心理学部の公認心理師養成に対する「本気度」がうかがえます。

このような方針で平成30(2018)年度から始まった新カリキュラムですが、この年に入学した学生のみなさんが今年卒業年度を迎えます。

公認心理師経過措置説明会の様子(平成30(2018)年3月)

公認心理師説明会の様子(平成30(2018)年10月)