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2021年7月16日(金)

帝塚山大学と心理学(4) 人間文化学科の様子

今回は、人間文化学科の様子を見ていきたいと思います。

 

現在の心理学部は、「実験心理学」「社会・応用心理学」「臨床・発達心理学」という、心理学の3分野を柱としていますが、人間文化学科は、「行動・心理」「社会・福祉」「環境・情報」の3分野を柱とし、心理学のほかにも、社会学、都市計画、地域経済学、法学、社会福祉学、環境科学、情報科学など、多岐の領域にわたっていました。

 

しかし、どの分野・領域であれ、「社会人としての力をつける教育」には本腰を入れており、たとえば、入学直後に合宿形式のオリエンテーションを取り入れるなど、教員が積極的に学生のみなさんと関わる試みを始めました。ちなみに、この合宿は現在の心理学部でも、「合宿オリエンテーション」として受け継がれています。

 

心理学教育では欠かせない実験系の実習も人間文化学科になってから始まりました。現在の科目名は「心理学実験」という名称になっていますが、それまでは「心理学実験実習」と呼ばれていました(平成30(2018)年度からの公認心理師養成カリキュラムの開始により、科目名が変更されました)。

 

人間文化学科は東生駒キャンパスを拠点としていましたが、「心理学実験実習」は夜の8時30分ごろまで授業が続くという気合いの入りようで、特別に学園前キャンパスで開講していたそうです。またこの科目は、現在は必修科目ですが、当時は『心理学アスペクト』という教科書の全領域にわたるテストを受けて合格しなければ受講できなかったほどの人気選択科目で、この科目を受講することが、人間文化学科で学ぶある種のステイタスになっていたといえるでしょう。

 

さらに、心理学の研究においては統計解析なども必須であることから、コンピュータを使った授業が取り入れられ、平成12(2000)年度にはSPSSという統計解析ソフトを導入しました。それは現在にも至っています。SPSSの導入に際しては大変なアクシデントがあったそうですが、当時の先生方が協力して、何とか導入にこぎつけたそうです。

 

そして、学生のみなさんも非常に積極的だったようです。当時はまだ本学には心理学系の大学院はありませんでしたが、他大学の大学院進学を目指して、学生のみなさんが自ら「心理学研究会」を発足し、夜遅くまで勉強会を開いていたそうです。

 

最後に、人間文化学科は学業面だけでなく、学生生活への配慮にも積極的だったようで、たとえば、親元を離れて入学した下宿生や留学生の人たちの精神的にも金銭的にも大変な身を案じ、ふんだんに食べ物や飲み物を用意し、彼らを元気づけようとするイベントも始まりました。これは現在でも、「下宿生・留学生を励ます会」として、毎年6月に開催されています。心理学部は「アットホーム」、「教員と学生の距離が近い」とよく言われますが、その源流はすでに人間文化学科にあったといえるでしょう。

当時の学生のみなさんの様子1

当時の学生のみなさんの様子2

当時の学生のみなさんの様子3