2021年8月23日(月)
帝塚山大学と心理学(5) 次なる挑戦―心理福祉学部開設へ
平成11(1999)年に開設した人文科学部人間文化学科は社会のニーズに応えてきましたが、その後の社会はさらなる専門教養教育を求めるようになってきました。また、少子化に伴う大学全入時代を迎えようとしつつある中、より専門性の高い教育を行うこと、そして大学院の増設が視野に入るようになります。
そこで、人間文化学科の教育目的を活かしながら、さらなる専門性を高めるべく、従来の「心理系専門科目」・「福祉環境系専門科目」というカリキュラムの部分的編成ではなく、より専門性を重視した「学科」を構築する方向へと話は進んでいきます。
もう少しわかりやすく言うなら、「カリキュラムに『心理系科目』を開講しています」というだけなら、各人が好きな科目だけを履修して終わってしまい、それでは高度な専門性は身につきません。しかし、「『心理学科』を開設するので、心理学に関することはまんべんなく勉強してもらいます」ということになれば、心理学の諸領域を網羅することができ、専門性も高まると考えられます。
そういうわけで、次への戦略として、人間文化学科を改組し、社会的なニーズが大きい心理・福祉分野に特化した「心理福祉学部」の開設を目指すことになりました。
新たに構想した学部は、心理学科と地域福祉学科の2学科体制で進めていくことになりましたが、とくに心理学科についてその方向性を述べると、「基礎心理」「社会・応用心理」「臨床心理・カウンセリング」といった分野を中心に、現代社会の抱える多様な課題(たとえば、人間関係の悩みやストレス、事故、災害、犯罪、非行など)についてサポートと問題解決のできる人材を養成することがその土台にありました。また、当時はまだ手薄であった、京阪奈地域の心理学教育・研究に関しても中核としての役割を担おうとの気概もありました。
学部の開設は平成15(2003)6月に文部科学省に受理されました。こうして、人間文化学科は人文科学部から独立するとともに、翌16(2004)年4月に心理福祉学部(心理学科・地域福祉学科)が誕生することとなりました。
新しい学部はこれまでの東生駒キャンパスから学園前キャンパスへと移動し、人間文化学科設置からわずか5年後に、またもや新たなスタートを切ることになったのです。
学園前キャンパス10号館
この建物の3・4階に心理学科教員の研究室や実習・演習室が入りました(現在に至る)