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2011年10月29日(土)

心理学科4年生が認知神経科学会でポスター発表に採択され、発表を行いました。

10月23日に北九州市の産業医科大学で開催された認知神経科学会学術集会で、心理学科4年生の山下雅俊君がポスター発表を行いました。

この学会で発表するには事前の審査で採択される必要があります。多くの研究者や大学院生が応募し、採択されなかったものもありますから、学部の学生である山下君に発表の機会が与えられたのは、それだけこの研究成果に価値があるということが言えるでしょう。

山下君のテーマは「睡眠障害型慢性疲労モデルにおける社会的スキルの神経科学特性に関する検討」で、「不登校のモデル」を取り上げています。不登校の80%に睡眠障害が認められているため、心のケアだけでは十分な回復・復帰が難しいことから、ラットによる実験で、慢性疲労抵抗因子として想定されるベータ・エンドルフィンが疲労感の軽減に作用するかを調べたところ、効果が得られました。

彼の発表を聞いた九州大学医学部教授・谷脇考恭座長がわざわざ彼のところに来られていろいろ質問されましたが、彼は作成した動物モデルの特徴や苦労した点などをしっかり回答し、谷脇教授から多くのアドバイスをもらいました。

彼の研究が好評であったのは、ゼミを履修している期間だけの実験ではなく、指導教授である本学心理学科・山本隆宣教授が長年に亘って重ねてこられた研究(トリプトファンが精神疲労を引き起こすことを明らかにした)との融合でもあり(このトリプトファンが上記のベータ・エンドルフィンにより抑制されることがわかった)、いわば年季の入ったオリジナル性の高い研究で、データに科学性がありクリアーであったから、と言われています。

初めての学会発表で過度に緊張していた山下君ですが、無事に発表を終え貴重な経験をしました。そして、なぜこの物質で効果が得られたのかについて、さらに引き続いて卒業研究の後半の課題として取り組んでいます。

発表を行う山下君

学会参加者に研究成果を説明する山下君

学会参加者からの質問を聞く山下君

発表を終えてほっとした山下君と山本先生