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2018年12月19日(水)

第12回実践的中小企業経営法務(酒造メーカーの経営戦略と特許・商標)

12月18日(火)5限の「実践的中小企業経営」の第12回目の講義では、明治4年創業の倉本酒造株式会社専務取締役 倉本隆司様を講師にお迎えし、「斜陽産業から描く未来~伝統と文化が再び地域をつなぐ」をテーマに講義をしていただきました。

 

東京農大を卒業後、乳業メーカに入社し、2015年から倉本酒造で酒造りに従事している倉本様は、ビールやワインなど消費されるお酒が多様になったことや、酒類の販売の自由化などの要因から日本酒全体の売り上げが下がり続ける中で、「付加価値を高めて、おいしい酒造りをする」とおっしゃっていました。その具体的な中身として①自らで探し求めた酒米「夢山水」を自家田栽培し、米作りの水と酒造りの水を同じにすることで相性の良いお酒ができること、②仕込水に米を浸漬させて乳酸菌を培養した「そやし水」を用いてお酒を仕込むなど、いにしえの奈良で造られた清酒を500年ぶりに復活させた製法を用いていること、③腐敗を防ぐための「火入れ」も、お酒を瓶詰めした後に行うことで香りや風味を閉じ込めることができること、をあげておられました。

 

倉本様から学生に対して「なぜ若者は日本酒になじみがないのか」との質問がなされたり、酒蔵から直接酒販店へ取り次ぐ販路形態となっていることや、フランスのドメーヌ(自らブドウ畑を所有し、栽培・醸造・瓶詰を一貫して行うワイン生産者)からツゲーヌ(奈良市都祁[つげ]で造られた)という造語を自ら考え出したという話、菩提酛造り(室町時代に奈良・菩提山正暦寺で創醸された方法)という天然の乳酸菌を使う製法が特許の対象となっていたり、菩提酛が商標登録されている話などに学生たちは興味深く聞き入っていました。

 

グループディスカッションでは、「人とどのようにコミュニケーションを取っていますか?またどのように取りたいですか?」をテーマとして話し合いました。苦手な人でも相手をリスペクとする心を持つこと、1人1人の意見を否定せず受け止めることが大切など、活発な意見交換がなされました。

 

倉本酒造株式会社HP:https://kuramoto-sake.weebly.com/