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2018年4月19日(木)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」が始まりました

 

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歴史や文学など様々な分野を学習できる、日本文化学科の特色を活かしたリレー講義「日本文化への多角的アプローチ」が始まりました。第1回の後藤博子准教授のガイダンスに続き、4月19日(木)に鷺森浩幸教授(古代史)による第2回の講義が行われました。

今年度の共通テーマは「花」です。

鷺森教授は、「神話・説話の花」と題して、『古事記』『日本書紀』に収められた神話・説話にもとづく事物起源譚を、コノハナサクヤヒメ・オトタチバナヒメ・橘の説話をキーワードにお話しされました。

コノハナサクヤヒメ(繁栄の象徴)は、姉のイワナガヒメ(永遠の命をもたらす)とともに天孫ニニギノミコトに嫁しますが、醜女であったイワナガヒメを拒絶したことにより、ニニギノミコトの苗裔は死から逃れられなくなってしまいます。これは、人々に必ず死が訪れることを説明した物語であり、合わせてコノハナサクヤヒメが桜花のイメージを内包し、桜と死を重ねてとらえることが古代人の考え方にすでに伺われることを説明されました。

次に、ヤマトタケルノミコトの妻であるオトタチバナヒメは、東征に向かうミコトが海を渡り兼ねた時にわが身を投じて行軍を助け、無事に敵を打ち破ったミコトは、帰還する途中、足柄山の坂下で妻オトタチバナヒメを偲び「吾嬬や(あがつまや)」と言ったことにより、関東一円を吾妻国(東国)と呼ぶようななったとする、地名起源説話について話されました。

最後に、橘が霊性を以て重要視された植物であったことを、田道間守の橘探索説話や県犬養三千代の橘姓下賜の説話をもとに解説されました。

講義の終わりに「神話・説話から歴史的事実を読み取ることが、古代史学の眼目の一つ」といった発言があり、そのためには「自分で考える」ことが重要で、また「考える」ことはすべての学問分野に共通する学びの基本であるといった、学生に向けてのアドバイスがありました。