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2018年2月9日(金)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第8~10回

「特殊講義(日本文化への多角的アプローチ)」は、多彩なジャンルにわたって日本文化を学習できるという本学科の特色を生かしたリレー講義で、今年度の共通テーマは「食文化」です。

第8回(11月16日)は杉﨑貴英准教授(美術史)が「日本美術のなかの「食」をめぐる諸相─「近世初期風俗画」以前を中心に─」として、絵巻における食の描写を見ていきました。平安時代にはマイナスのイメージで食が取り上げられる場面でのみ描かれていたのが、中世には詞書とは関係なく食の場面が描かれるようになり、絵巻が絵画として表現豊かになっていった流れが見えてきます。

第9回(11月30日)は後藤博子准教授(近世演劇)が江戸時代に一般的な料理文化が成立した背景を確認した上で、近世文学や演劇の作品の中で、食の描写を通してどのようなことが表現されたかを読み解きました。西鶴の作品で相手へのおもてなしや感謝の心が食によって表現され、人形浄瑠璃の舞台では誕生日祝いから悲劇への展開が楽しい食の場面によって強調されていることなどについて考察しました。

第10回(12月7日)の高田照世准教授(民俗学)の講義はハレの日、ケの日にどのようなものを食べるかという問いかけから始まりました。祭りで神と人が共食することによって交流をはかっている事例などを通して、日本人の食べ物に関する信仰について考察しました。上級生が祖母から東吉野村の食について聞き取り調査を行ってまとめた報告書も紹介され、学生たちもそれぞれ自分の地域でハレの日に食べるものを挙げながら意見交換しました。