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2018年5月17日(木)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第5回

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歴史や文学など様々な分野を学習できる、日本文化学科の特色を活かしたリレー講義「日本文化への多角的アプローチ」は、5月17日(木)に花田卓司講師(中世史)による第5回の講義が行われました。共通テーマは「花」です。

花田講師は、「中世における「花」-邸宅の花・紋章の花・花押-」と題して、日本中世を生きた人々と花の関わりを、「花そのものとの関わり」「意匠・記号としての花との関わり」の二つの視点から、歴史資料をもとに概説されました。

「花そのものとの関わり」については、平安期の内裏や公家邸宅における植樹や花賞翫の事例を受けて、中世の武家邸宅においても同様の事例が見られることを紹介され、室町時代には仙翁花(中国原産で、南北朝期に日本に伝来)鑑賞の慣習が生まれ、戦国期の公家による品種改良への傾注など、「花を愛でる」ことは、日本人が長く受け継いできた営みであることを示されました。

「意匠・記号としての花との関わり」においては、平安期に端を発する紋章の使用は、中世武士の間では敵味方を区別する「しるし」として機能し、大将を頂点とした一族の家紋へと展開して行くこと、さらに話題は江戸時代におよび、近世芸能者の家紋利用が庶民間の流行へとつながっていったことをお話しされ、家紋を大切にすることは、日本独特の文化であると述べられました。

最後に、花に因んだ歴史学上のトピックとして花押を取り上げ、花押の成り立ちや類型、変遷についてお話しされ、受講生は自分のオリジナル花押作りに取り組みました。