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2018年5月10日(木)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第4回

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歴史や文学など様々な分野を学習できる、日本文化学科の特色を活かしたリレー講義「日本文化への多角的アプローチ」は、5月10日(木)に清水婦久子教授(古典文学)による第4回の講義が行われました。共通テーマは「花」です。 

清水教授は、「古典文学における花」と題して、様々な古典文学作品に見える花を取り上げて、いにしえの人々の花に寄せる関心を示しつつ、花にまつわる多くの古典的知識をひもときながらお話しを進められました。

講義の最初に、『枕草子』を取り上げ、「木の花は…」「草の花は…」として列記される花を紹介され、そうした花々に当時の人々が寄せた関心のほどを示されました。

続けて、「木の花」「草の花」と分けて、一つひとつの花について、『古事記』『日本書紀』『万葉集』あるいは『古今集』などに収められた和歌を挙げながら、まさに「古典文学における花」を解説されました。「木の花」では、日本人が持つ花のイメージの代表ともいえる「桜」が、以前にその位置を占めていた「梅」から転換していく花のイメージの移ろいや、内裏の殿舎の異称にもなっていることへと話は及びました。「草の花」では、現代にも習俗として残る「七種(七草)」や、皇室の紋章である「菊」について、歴史的な知識も織り交ぜての説明がありました。また、花を人物の表象とする修辞が古くからあったことを「撫子(大和撫子)」を例にとって『古今集』『源氏物語』の和歌で示し、同様の例で、『源氏物語』「夕顔」の登場人物である夕顔が、イメージの源となっている花の誤りから人物像が正しく理解されてこなかったことを、専門的な立場から解説されました。