News

2018年4月26日(木)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第3回

180426-2.JPG

歴史や文学など様々な分野を学習できる、日本文化学科の特色を活かしたリレー講義「日本文化への多角的アプローチ」は、4月26日(木)に清水昭博教授(考古学)による第3回の講義が行われました。共通テーマは「花」です。

清水教授は、「考古学からみた日本人と花の関わり~花の命は短いというが~」と題して、考古遺物としての花(植物)そのものと、考古遺物の意匠としての花を軸に、人々の花(植物)への関心についてお話しされました。

まず初めに、考古学とは「モノから歴史を考える」(埋もれた遺物から人間の営みを考える)学問であるという、簡潔な説明があり、考古遺物として残る果実や種子・花粉をきっかけに、その時代の人々を取り巻く花(植物)とはどのようなものであったかを説明され、ネアンデルタール人やイスラエルの洞窟墓にまで、話題は及びました。

続いて、日本人と花の関わりについて、旧石器時代から古墳時代、奈良時代へと話しを進め、より古い時代には花(植物)は食用や染料といった実用品として捉えられており、遺物の意匠(デザイン)として現れてくるのは古墳時代頃よりであること、その意匠(花形文)は仏教的文様である蓮華文の影響が考えれられることを解説されました。

また、蓮華文が普及していく道筋に、寺院建築の広まり(仏教の伝播)があるとされ、特に屋根に掛けられた軒丸瓦に蓮の意匠が見られることを指摘されました。そこに関連させて、仏像が蓮華をつまみ持つことや、人々が仏像に蓮華を供えることも、日本人が花を愛することに一脈通じるものがあるのではとの私見を披露されました。

まとめに、「何千年も前の遺物に人間との関わりを示している花の命は実は長いのだ」と、「花の命は短いというが」というタイトルの謎解きをして締め括られました。