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2018年6月28日(木)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第11回

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歴史や文学など様々な分野を学習できる、日本文化学科の特色を活かしたリレー講義「日本文化への多角的アプローチ」は、6月28日(木)に岩井洋教授(宗教社会学)による第11回の講義が行われました。共通テーマは「花」です。

岩井教授は、「花と死生観~武士道からスピリチュアリティへ~」と題して、「桜」が持つイメージ伝統と、日本人の死生観との関連を中心にお話しされました。

現代の歌謡曲から講義は始まり、歌詞の中に、メタファー(隠喩)として「花」を用いた作品が多く見られ、指し示す内容に精神性・死生観といったものが籠められていることをきっかけに、「花」がなぜ死生観のメタファーとして用いられるのかへと展開し、「桜」を具体例として、平安末から鎌倉初期の歌人西行、戦国武将武田信玄、江戸期の国学者本居宣長の各人が詠んだ和歌を紹介、桜花のもとに死を望む心、瞬く間に散る儚き桜に死際の潔さを映し見る心などを読み取り、人の生き死にと絶えず交錯しつつ語られる「桜」のイメージを示しました。また、そうしたイメージの伝統が、近代の文学や戦争にまで影響をおよぼしていることをお話しされました。それを踏まえて、歴史的なイメージの蓄積と、新たな表現者の解釈による変容の様態を見極めることが肝要であると結ばれました。