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2017年1月26日(木)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第12回は「真田幸村と立川文庫」でした

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日本文化学科教員によるリレー講義「日本文化への多角的アプローチ」の後半のテーマは「真田信繁(幸村)」です。第12回(12月22日)は西尾元伸准教授(近現代文学)が担当しました。

 

戦国武将「真田信繁(幸村)」は小説やゲームのキャラクターとして人気を集めてきました。第11回の花田先生(中世史)の講義では、史料を丹念に確認しながら、真田信繁に関する「史実」を見極めました。今回の講義では「真田幸村と立川文庫」のテーマで、明治から大正にかけて少年向けの読み物として大阪で出版された「立川文庫」によって、真田幸村がヒーロー化していった文学的な流れをたどりました。

立川文庫の原拠となった講談がどのようなものかをイメージするため、旭堂南海の講談「難波戦記」の一節をCDで聞きました。学生のほとんどが講談を聞くのは初めてだったのですが、自然と引き込まれ、大坂の陣の情景をそれぞれに頭に描けたようです。

立川文庫の作品の中で、真田幸村の家来として登場した猿飛佐助により忍者の人気に火がつき、「三勇士」「七人勇士」といった段階を経て、いわゆる「真田十勇士」が定着していきます。立川文庫では、真田幸村も豊臣秀頼も大坂の陣を生き延びて薩摩へ逃れた、といったパラレルワールドのような展開が描かれます。

西尾先生は、真田信繁は歴史上の人物でありながら、文学的な存在となった人物であると位置づけ、文学の世界ではそのような事例が多いことを確認しました。学生たちは、歴史と文学をミックスしてイメージしていた人物について、「歴史上の人物が文学的存在として脚色されていく」という流れでとらえ直していました。