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2016年11月29日(火)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第7回は中谷克己名誉教授が担当されました

 

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中谷名誉教授(近現代文学)の講義は、占いやまじないの《本物に触れる》ことからはじまり、筮竹や算木、まじないの方法を記した古典籍や巻物、その他、石笛(いわぶえ)などを回覧しながら、そもそも「占い・まじない」とはどのような性質を持つものかが問いかけられました。

その後に、件(くだん)という妖怪が登場する小説、内田百閒の『件』を読みました。そして、過去に件が目撃された際の文献や、かつて件のミイラが実在したことなどを紹介し、件という妖怪には「占い・まじない」の両方にあたる、「予言」と「厄除け」の性質があると説明しました。そして、件のような性質を持つ妖怪が作り出されるのは、人間には幸せになりたい業(ごう)や憧れがあるからではないかと結論づけました。

学生からは、「まじないの方法が書かれた書籍を読んで、人の欲は尽きることがないと思い、すこし恐ろしかった」、件(くだん)についても「本当に遭遇したとして、予言を聞くのは恐ろしい気がする」、「(偽物だと思うが)件のミイラはどうやって作ったのだろう」、「件が実際に目撃されていることが面白い」などといった感想が聞かれました。