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2016年12月27日(火)

【日本文化学科】リレー講義「日本文化への多角的アプローチ」第10回は美術史分野でした


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日本文化学科教員が「占い・まじない」をテーマにリレー講義を行う「日本文化への多角的アプローチ」第10回(12月8日)は、杉﨑貴英准教授(美術史)が担当しました。

「美術史からみた「占い」「まじない」の世界」と題し、「愛染明王」を取り上げ、愛染明王像がどのように造形されてきたのかを見ていきました。

鎌倉時代の文献に、愛染王法という修法によって天皇即位の宿願がかなった話が載っていることを紹介し、まじないにおいて霊験のある存在として愛染明王があがめられてきた中で、愛染明王がどのような姿かたちで描かれ、造形されてきたか、左第三手に持つ「彼」に注目して講義を進めました。

愛染明王は個人の欲望や願いをかなえる存在として信仰され、夫婦の不和を解消する「敬愛」法など、恋愛に関わるようにもなります。さらに、蒙古襲来という危機には西大寺の愛染明王像が大風を起こして国を守ったことから、鎌倉時代の刀剣には愛染明王を表す梵字が刻まれるなど、対外的な危機に対峙する存在として展開すると位置づけました。現在人気の「愛染国俊」の画像(?)も紹介され、教室中が笑いに包まれました。学生たちは造形の意味を考えるという、美術史学の視点を楽しみながら体験できたようです。