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2014年6月9日(月)

【日本文化学科】学外実習「飛鳥遺跡探訪」で学生がガイドを務めました


ゴールの川原寺跡で記念写真 (2).JPG

春とは思えない暑い日差しのなか、5月17日(土)に文学部日本文化学科では日本古代の首都、飛鳥の遺跡探訪を実施しました。遺跡探訪は日本文化学科の1年生を対象とした体験型授業「学外実習」の一環として、本学考古学研究所が主体となり、毎年、企画しています。また、今回の学外実習は上級生や大学院生の教育を目的として、飛鳥の歴史サークル「両槻会(ふたつきかい)」のご協力を得て、一般の方々も参加するという形でおこないました。

参加者は学生、一般の方々を合わせ総勢43名。ほぼ一日、老若男女で飛鳥を歩きました。飛鳥寺、豊浦寺、川原寺、飛鳥宮など飛鳥に残る寺院や宮殿の遺跡を見学し、途中、飛鳥資料館の特別展示も拝観しました。

 

普段と違い緊張した様子で解説.JPG

当日は教員や両槻会スタッフに加え、考古学(清水昭博准教授)ゼミの学生や大学院生も遺跡の解説を分担しました。わかりやすい解説をするため、事前に現地の下見を実施して充実した資料を作成し、当日に備えました。

飛鳥に初めて訪れた一年生にとっては、飛鳥の素晴らしさを実感する一日になったことでしょう。また、解説を担当した上級生にとっては緊張の一日だったでしょうが、大変貴重な経験になったことと思います。

 

※参加者の感想

1年生 杉本 百合子

「2つの目で見るだけでなく、心で見る飛鳥」

私はこの言葉が1番心に残りました。現在の明日香に当時のまま残っている建物などは、ごく少数です。しかし、この言葉を聞いてからは当時の姿を自分の中で蘇らせて見ることができたように思います。甘樫の丘から見た、この景色が1300年前はどんな景色だったのだろうか。聖徳太子が作ろうとした国とは果たしてどんなものだったのだろうか。また一つ、飛鳥のことを好きになった1日でした。

1年生 渡辺 真衣

飛鳥寺や川原寺・飛鳥資料館など様々な場所を、先生のミニ講座や先輩方の分かりやすい解説・資料つきで見学し良い経験となりました。私は今まで一度も飛鳥を訪れたことがなく教科書などでしか見たことがありませんでしたが、それを間近に生で見ることができ非常に感動しました。この学外実習で飛鳥への関心が深まったため個人的に興味深かった水落遺跡や今回見ることができなかった遺跡などに関してももっと学びたいと思いました。次、飛鳥を訪れるときは「心の目で見る」ということを意識して自分のペースで一つ一つゆっくり見て回りたいと思います。

1年生 松原 圭司

鳥取県出身である僕には、飛鳥の探索はとても興味深い体験だった。水落遺跡の全体的な大きさと、自分の想像していた漏刻の大きさに僕は何となくギャップを感じた。飛鳥資料館で復元模型を見た事で、ある程度そのギャップは小さくなったものの、時刻を知らせる大切な役割のあつた建物がこんなにも小さなものだったのだろうかという考えが消える事は無かった。

解説を熱心に聞く学生たち.JPG

飛鳥寺跡の飛鳥大仏は、見る方向によって表情が違って見えると教えていただいた。ただ、それは修復によるものか否かまでは教えてもらえなかつた。本来の製作者の意図する所か、修復するにあたって何らかの目的意識が働いた為にそうなったのかとても興味深い。

最後に気になったのは、飛鳥京苑池の酒船石だ。ただ水を流すだけなら、あんな形でなくても良いのにわざわざあの形にしたのは何故なのか?見て楽しむ為だけのものなのか、そういった加工が出来た技術を示したかったのか?僕には想像する事しかできないが、前者であれば良いと思う。酒船石に水が流れているのを見ながら、ゆっくり過ごせるだけの心の余裕があったら素敵だと思うからだ。

今回の実習は、日差しが強く歩いた距離もそれなりにあったので、運動不足の体には辛かつた。しかし学外実習の豊富さを魅力に感じ、帝塚山大学を受験した僕にとっては入学してよかったという思いを実感できたとても良い機会だった。これからも、自分の興味を持った学外実習に積極的に参加していこう。

1年生 西谷 岳人

土曜日の考古学での学外実習は、「飛鳥」ということで私も飛鳥には何度か行ったこともあり、博物館にも行ったことが数回あったけれど、考古学、古代の都の飛鳥、「遺構、遺物、遺跡」という所に注目して飛鳥に訪れたことがなく、そうした意味で初めての体験でした。

最初はただただ遺跡などを見て回るだけだと正直思っていたけれど、両槻会のみなさんや、清水先生、上回生の人達と一緒に見学していく中で、僕の知らないような多くの知識や考え方があること、ここまで調査していかなければならないのかということ、そして、まだこれ以外にも今後の研究で明らかになっていくことが数多くあるという所に感動しました。みなさんの研究の努力があり、すごく中身の濃い、充実した時間をこの学外実習で学ばせてもらったと思います。

今後ともまたこういう機会がある際には参加して、来年には僕も1年生の前でしっかり説明しなければならいないということを大いに感じました。今回は貴重な時間を作っていただき、暑い中共に歩き、詳しく説明していただきありがとうございました。

2年生 山本 剛史

去年は説明を聞く側として参加しており、今年は説明をする側として遺跡探訪に参加しました。このことによって、去年目の前で説明されていた先輩方の大変さを、身を以て知ることになりました。

私の説明した場所は説明順序では最後の川原寺というとでも緊張するところでした。最初は参加者の人たちにしっかりと説明できるだろうかと心配でした。説明を終えた後、自分としては満足な説明ができたわけではなく、落ち込んでいたのですが、先輩や聴講生の方に「よかった」「勉強になった」と言ってもらえた時は感情を抑えきれず涙を流してしまいました。

大学に入って二年目にして、説明役のスタッフとして参加するとは自分でも驚きましたが、年上の多くの人の前で説明するという、普通の大学二年生ではできない貴重な体験をさせていただいたことに深く感謝しております。

4年生 寺農 織苑

今回、飛鳥寺の発表をすることになり初めて真剣に飛鳥寺を勉強しました。飛鳥寺を勉強していると近隣の寺や遺跡などと深い関係があることを知りました。もっと他の遺跡などを調べると飛鳥寺との密接な関係を知る事ができ、面白いと思いました。しかし、今回の発表で知識は得たものの、人前でそれを披露する力が不足していると痛感しました。なので、自分の力をつけて人前であたふたしない様になれば、その時、晴れ渡った飛鳥の大地に舞い戻ってきたいと思います。もっと他の寺、遺跡などを勉強し飛鳥について知りたいと思える一日でした。

 

草むらの下には古代の大庭園があった!.JPG

大学院後期博士課程1年 西垣遼

天候にも恵まれ、絶好の飛鳥歩き日和であった学外実習。今年度から博士後期課程に進学し、新生活に慣れ始めようとしていた一番始めのイベントが、今回の学外実習での遺跡説明であった。

遺跡を説明する上で、気をつけたポイントが3つある。1つ目は、遺跡説明箇所の参考文献全てに目を通すこと。情報の取捨選択をするためである。2つ目は、まとめること。今までの経験から、勉強した全てを説明できないことが分かった。ポイントを絞ることが大切である。3つ目は、現地の地形も含めた説明である。文献では、表現できない姿が現地にはある。そのため、現地を使った説明を意識した。

以上3つを心がけながらも、説明慣れしていないせいか、課題点が多くあった。しかし、遺跡説明後に質問に来てくださる方もおり、勉強させていただく事が多くあった。将来、考古学の学芸員を目指している私にとって、このような説明させていただける機会をいただけてありがたかった。次回があれば、また改善して臨みたい。

大学院 研究生 河村 卓

私は、今回の遺跡探訪で飛鳥の魅力を再発見することができました。これまで飛鳥の遺跡探訪は、先生方の説明を聞きながら歩く、「体験型授業」でした。今回は大学院生と学部生が、資料作成から遺跡説明までを任されることになりました。資料作成では、難しい考古学用語は極力使わないようにし、初めて飛鳥を訪れる学生が理解できるように心がけました。

遺跡説明では、実際に訪れることでわかる遺跡の見どころを伝えるため、事前に下見を行いました。遺跡探訪当日、緊張もあり、話したいことの八割ほどしか話せませんでした。ですが、当日までの作業を通して、説明を担当した遺跡により興味を持つようになりました。

飛鳥は田園風景が広がる綺麗な場所です。その地面の下には古代の遺跡、寺院跡がたくさん眠っています。これらのほとんどは埋まっていて実際に見ることはできませんが、その魅力を引き出すことは説明する人の技術で変わるものだと学びました。

飛鳥宮の井戸に座り解説を聞く

飛鳥大仏を拝観