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2012年8月2日(木)

【日本文化学科】学外実習で大和郡山市稗田環濠集落に行きました

7月14日(土)、「人文地理A」との合同授業として、日本文化学科「学外実習」の臨地講義が行われ、渡辺康代講師の引率のもと、奈良県大和郡山市の稗田環濠集落に行きました。

環濠集落とは、敵からの攻撃などから守るために周囲に堀をめぐらせた集落のことです。環濠は、こうした集落の防御のため設けられたとされますが、環濠の機能はそれ以外にも洪水の防止、灌漑、排水などと多岐にわたります。中世以降の奈良盆地には、かつて200前後の環濠集落が存在したと言われますが、稗田は現存する環濠集落の代表格です。

折からの晴天のもと、10数名の参加者と近鉄郡山駅から歩くこと約20分、稗田環濠集落に到着。まずは、稗田阿礼を祀る売太(めた)神社をお参りしました。

次に、集落の北東にまわり、鬼門から病気などの邪気を集落内に侵入させないため、北東隅の環濠を多折れに屈曲させていること、すなわち「鬼門落とし」の風水思想が稗田集落に取り入れられており、集落内部は邪気の侵入からも心理的に守られた空間になっていることを確認しました。

集落内部は迷路のような小路が入り組んでおり、稗田の檀那寺である常楽寺へ向かいましたが、途中で道をまちがえ、袋小路に迷い込んだりしましたが、かえって中世のままの道幅の狭さを体感できました。

最後に、稗田の北端にまわり、佐保川に対する従前よりの堤防であった請堤の跡を見学。参加者は、渡辺講師から、「稗田環濠集落は、請堤とセットで中世の奈良盆地の地表上に登場した可能性があり、稗田の環濠は、防衛機能はもとより、洪水時には排水処理機能、平常時には生活用水機能というように、多義的な機能を有していたと考えられる」など説明を受けました。

酷暑の中、全員が最後まで歩き通し、実際に現地でモノを見て、体感し、発見することの楽しさや大切さが、参加者一同の心に残る1日でした。

多折れになっている稗田環濠の北東部

東南から稗田集落を望む

請堤の跡

集落内の小路を進む学生たち