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2010年8月2日(月)

日本文化学科 学芸員課程 「博物館実習」を行いました

7月29日~31日および8月2日の4日間にわたり、人文学部日本文化学科では博物館実習を行いました。

最初の3日間で考古資料や書跡、美術品の取り扱いや調書作成、さらには民俗資料の調査収集法、カード作成についてじっくり学んできた実習生たちですが、最終日はいよいよ拓本採取の実習となりました。

学生たちは自ら選んだ瓦に固定させた画仙紙を霧吹きで湿らせ、脱脂綿や綿棒で丁寧に瓦の文様をとっていきます。空気を含んでは美しい仕上がりとならないので、慎重な作業が求められ、緊張の連続でした。型どりが済むと、松煙やオリーブ油、もぐさでできた特殊な墨をむらにならないよう丹念にタンポで打っていきます。瓦の情報を記録し、乾燥させれば完成です。

指導教員の清水昭博准教授によると、「実際に使用する瓦は博物館所蔵の本物です。画仙紙を破ってしまった場合は、墨打ちすると瓦に墨が移るので、新たに採りなおすこととなります。」とのこと。学生たちは一層気を引き締め、博物館の所蔵品である瓦を取り扱っていました。

午後からは関根教授を講師とする梱包実習を行いました。まずは美術品等の展示品をくるむ「綿布団」をつくっていきます。薄葉紙とよばれる大きな白い紙を2枚重ね合わせて、学生たちは協力しながら作業を進めていきました。続いては変わった形の器や狛犬のような像の梱包も苦戦しながら実際に行い、関根教授の「丁寧に包むことも大事ですが、安全に搬送できるように梱包すること」「マニュアルばかりでなく、どの部位が壊れやすいかのか、色落ちしやすいのかをしっかり見極める目を養いましょう」との指導に学生たちは真剣な表情で聞き入っていました。

最後の展示実習では、実際に巻物等に触れて取り扱い方法を学び、展示室では展示に関する注意や見せ方について丁寧な指導を受けました。

帝塚山大学の学芸員課程は本学敷地内にある附属博物館にて「博物館実習」を履修できることが魅力です。また、民俗、考古、美術、歴史等のさまざまな分野を専門とする教員から幅広い内容の指導を受けることができます。4日間の実習を終えた4年生26名(全員人文科学部日本文化学科に所属)は、全日程を終えての森郁夫博物館長(本学名誉教授)のねぎらいの言葉を受け止め、学芸員の資格取得に向け、励んでいきます。

いろいろな道具を用いて瓦の拓本を採取する学生

特殊な形の所蔵品を梱包する技術に見入る学生

破損しやすい巻物を丁寧に取り扱う学生

4日間の博物館実習を終えた学生たち