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2021年3月3日(水)

【食物栄養】2020年度 スポーツ栄養講演会をオンラインで開催!

スポーツ栄養に関心のある学生約50名を対象に学外から3名の講師を招聘して3部構成の講演会を2月に実施しました。その講演内容の一部と受講学生の事後レポートを紹介します。

講演1のテーマは「運動時の脂質代謝調節とスポーツ栄養における油」で、講師は滋賀県立大学 人間文化学部  生活栄養学科 准教授 東田一彦氏でした。スポーツ科学の分野では、栄養素の中で糖質とタンパク質についての研究が特に盛んに行われていますが、脂質の重要性についてはあまり理解が進んでいません。脂質は糖質と共に、運動中の重要なエネルギー源となるだけでなく、様々な生理作用をもっています。今回は、運動時の脂質代謝について概説し、近年明らかになってきたスポーツ分野での脂質の利用可能性について話されました。

(事後レポート)脂質の新たな可能性について聞いていく中で自分の脂質に対する考えが変わった。実際の事象を織り交ぜて聞くことでより栄養学や生化学を身近に感じることができて理解もしやすかった。また、それぞれの栄養素をバランスよく摂取することはもちろん重要だが、どうして必要か、効果がどのようなものかも相手にわかりやすく伝えることで、さらに指導内容を実践してもらえるのだと感じた。

講演2のテーマは「スポーツ栄養分野の研究とサポートを通じて」で、講師は日本体育大学 総合スポーツ科学研究センター 特別研究員 河村亜希氏でした。競技力向上を目的としたスポーツ選手のコンディショニングにおいて、適切な栄養摂取は重要な一要素です。学生のキャリア選択の一助として、研究機関に所属するスポーツ栄養士によるサポート事例を紹介されました。「スポーツ現場での実践研究」を取り上げ、スポーツ現場におけるn-3系脂肪酸(EPA、DHA)の可能性やファットアダプテーションに関する国内外の研究についてお話しされました。

(事後レポート)ファットアダプトは現役プロサッカー選手がこの食事法により日々のパフォーマンスが向上し、とても効果があると明言し、以前から興味があった。新たな発見として、普通の食事よりも高脂質のものを摂取するため、腸管機能の弱い人には不向きで、アスリートの身体のことをよく考える必要があると感じた。アスリートの高強度トレーニングによる筋肉痛を和らげる効果がEPAにあることに興味が湧き、今後ジュニアアスリートを指導していく中でこのEPAの摂取を促していこうと思った。

講演3のテーマは「マーメイドJAPANの栄養サポートを通じて」で、講師は元国立スポーツ科学センター 医学研究部栄養指導室 管理栄養士 花谷游雲子氏でした。国立スポーツ科学センター(JISS)は、オリンピックを目指すアスリートが活動する場で、ここを拠点に活動するマーメイドJAPANの栄養サポートについて紹介され、栄養スタッフとして求められること、トレーナーとの連携、充実した施設・環境をどのように活用しているのかなど具体的な活動を話されました。スポーツ栄養にかかわってきた経験を通じ、私自身が必要だと感じている管理栄養士の要素についてのお話も伺いました。

(事後レポート)管理栄養士として特に必要で重要な点は、選手に寄り添うことであると感じた。『選手の練習中を観察し、疲れている選手の把握、減量中の選手の状況など、その選手自身をしっかり把握することが大事である』、また『管理栄養士として、スポーツ栄養士として働くことはとても大変なことで難しいことであるが、そんな中でも頑張れるのはどれだけ相手のことを思っているかである』と、この言葉は、とても私には感慨深いものがあり、私はまだまだ将来の夢であるスポーツ栄養士には遠く、諦めてしまいそうになったときは自分一人で頑張ろうとするのではなく、他に頑張っている人やスポーツ選手を見て勇気をもらい、そこに自分も関わりたいと思ってもう一度頑張ろうと思えることが大事であると改めて感じた。

最後に、スポーツ栄養にはそんなに興味はなかったが、今回の講演を聞いて「面白かった。もっと勉強したいと感じた。」と感想を述べてくれた学生のコメントが印象的でした。遠隔での講演会でしたが、学生からの多くの質問にもご対応いただき盛会に終えました。