News

2012年10月19日(金)

【こども学科】 児童養護施設採用内定者へのインタビュー(4年生:納田真理子さん)

保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の3資格が取れるこども学科。しかし、そうした資格を活かしての就職先は、保育所・幼稚園・小学校だけではありません。募集数が少ないなか、見事、高校の時からの夢だったという児童養護施設への就職を決めた学生がいます。こども学科4年生、児童養護施設南河学園の保育士職への就職が決まった納田真理子さんへのインタビュー、聞き手はゼミ指導教員の渡辺貴裕准教授です。

渡辺:採用内定おめでとうございます。

納田:ありがとうございます。

渡辺:最初に、児童養護施設とはどんなところか、説明をお願いします。

納田:なんらかの事情があって親と一緒に暮らせない子どもが集まり、生活をする場所です。虐待のために入所している子どもが増えています。

渡辺:納田さんは、いつから児童養護施設で働きたいと思っていたんですか?

納田:高校2年生の時です。きっかけは、ボランティアで被虐待児と出会ったことでした。私はもともと子どもが好きで、いつか子どもに携わる仕事をしたいと思っていたのですが、そのとき出会った子から衝撃を受けました。なぜかというと、私が持っていた子どものイメージとは全然違ったからです。

渡辺:というと?

納田:天真爛漫で遊ぶのが好きでやさしい大人に甘えたいというのが、もともと持っていた子どものイメージだったんですけど、その子はまったく逆で、いつも下を向いていて集団行動をしようとせず、同年代の子どもや大人とかかわろうとしなかったんです。こんな子どもがいるんだって衝撃を受けて、その後、その子は虐待を受けているらしいということを聞かされました。それから、虐待を受けた子どもについて興味を持って、いつしかその子たちのお世話がしたいと思うようになりました。

渡辺:大学に入ってから、関連した内容ではどんなことを学びましたか?

納田:「養護原理」や「教育相談」、「児童福祉論」などの授業がありました。「児童福祉論」では虐待の要因について学びました。私は、授業で習うまでは、虐待をする親は信じられない、悪だと思っていて、自分はそういった親から子どもを守るんだ!と思っていました。でもその授業を聞いて、虐待をしたくてしている親はいないということ、いろんな要因があって、気付いたら自分がしている行為が虐待だったという親が多いんだということを知りました。また、どんな親でも子どもにとってはかけがえのない存在であるということも。最初は親から子どもを守りたいと思っていたのが、親子を助けたい、その子が家庭に戻れるようなかけはしになりたいと思うようになりました。この授業のおかげで見方が変わって、よけいに児童養護施設で働きたいと思うようになりました。

渡辺:就職先ではどんな保育士になりたいですか?

納田:施設にいる子どもは、自分のことが嫌いだったり親のことを憎んだりしていることもあるかもしれません。けれども、それでもその子が「生まれてきてよかった」と思えるような、そして最終的には親に「自分を生んでくれてありがとう」と感謝できるような、そんなふうにできる保育士になりたいと思っています。そうすればきっとその子は自分にも他人にもやさしくできるようになる気がするからです。

渡辺:最後に、こども学科を目指すみなさんへのメッセージを。

納田:みなさん大学に入るときには将来の夢があると思います。私は高校2年生の時からめざしていたから、5年間夢を温めていました。それがかなった時の喜びはすごいです。生まれて初めて味わう気持ちでした。是非それをみなさんにも経験してほしいと思っています。

渡辺:どうもありがとうございました。