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2010年9月21日(火)

タイの子ども・親子にも遊びを こども学科松尾純代講師の活動

松尾先生タイ1.jpg国や文化は違っても、遊びを楽しむ子どもの心は共通です。こども学科の松尾純代講師は、大阪の保育士や親子遊び講座の講師3人とともに、9月7日(火)から13日(月)にかけて、タイ・バンコクの6か所の保育園・幼稚園にて、子どもたちと親子の遊び公開保育を開催してきました。松尾講師は、タイと日本の交流と研修内容のスーパーバイザーを務めます。

開催前は、言葉は通じるか、子どもたちは心を開いてくれるか、親たちはどうか、あの狭い部屋で大丈夫かなど、不安もいっぱいだった公開保育。しかし、最初は緊張していた子どもたちの顔が徐々に緩んで笑い声が響くようになり、また、これまで子どもを園に預けるだけでお互いに話をしたりする機会がなかった親たちも、徐々に緊張が和らいで親子での遊びを楽しむようになり、公開保育は大きな好評を得て終わりました。

以下、松尾講師より、活動についての紹介です。

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活動経過

1993年、子どもの豊かな育ちを願う保育教育者や大阪府民とともにアジア保育教育交流推進実行委員会(愛称:大阪マイペンライ)というNGO組織をつくり、(社)シャンティ国際ボランティア会/シーカーアジア財団(シャンティ国際ボランティア会タイランド)に協力を得ながら、タイの子どもたちに奨学金や訳文を貼りつけた絵本の贈呈、また保育教育関係者の相互訪問の交流など、互いの顔が見えそして学びあう国際交流を行ってきました。

2008年から大阪マイペンライ結成15周年を記念して、国際ボランティア貯金の基金を活用した研修事業をシーカアジア財団と共に実施しました。2008年・2009年の2年間は、タイの保育教育関係者を対象に、(1)絵本の楽しさを保育教育関係者に実感してもらう絵本研修、(2)遊びを楽しむ研修 (3)身の回りの廃材を活用したおもちゃ作りの3つの種類の研修を企画し、大阪から絵本研究家、保育士、幼稚園教諭が講師として現地に赴き、研修会を実施しました。

そして2010年の今年、2年間の研修会に参加した保育教育関係者からの要望を受け、タイの保育現場(保育園・幼稚園)の子どもたちと共に遊び、親子遊びを行う公開保育を開催し、それを他の保育教育者が学ぶという形式の研修を行ったのです。

タイの保育・教育事情

タイ・バンコクは、高層ビルが立ち並び経済発展著しい国です。がその高層ビルの足元には、スラム地域が広がり、豊かさと貧しさが共存している国です。また多くの少数民族が暮らしている国でもあります。少数民族の子どもたちの保育・教育問題の課題は大きく、小学校に通いたくても通えない、小学校に入学しても卒業できない子どもたちが多く存在します。

10数年の相互交流の中で、タイの子育てや保育教育の大きな柱は、仏教に基づく規律正しい子どもたちを育てること、親・教師を敬う心を育てることだと感じてきました。このことから、保育教育者と子どもとの関係は、教え導き敬う人と教えを受け未熟な子どもの関係で、子どもと保育者が共に楽しむ活動はほとんどないのが現状です。保育園・幼稚園でも習熟度を測るテストが存在し、その為の勉強が主になってるのです。子どもたちの遊び道具は少ないですが、3歳くらいから文字を学ぶドリルは部屋に設置されています。

活動を終えて

シーカアジア財団とともに2008年から開催してきた研修の積み上げとして開催した公開保育。実際の保育現場で子どもと共に遊び、親子遊びを楽しむのは、言葉や文化の壁、なかなか大変でした。大阪・バンコクそれぞれ会議を行い、どのような内容を実施するか、公開保育の場所はなどなど、当日まではメールで進捗状況を報告しながら準備を進め、現地に入った7日・8日は実践場所の視察、現地スタッフとの遊び内容の確認、実際に遊びのシュミレーション、通訳の確認などなど、毎日遅くまで準備に明け暮れました。

各保育園・幼稚園で子どもたちや親子活動が終ったあとの意見交換会では「子どものあんな笑顔始めて見た」「先生と子どもの関係を考えさせられた」「遊ぶことが分かった気がする」「親子が顔見合わせて笑っていた」「子どもの誇らしげな顔、素敵だった」「親が楽しんでいた」などなど、保育教育者の驚きの意見に苦労も吹っ飛んだようでした。

2つの子ども対象の公開保育、4つの親子対象の公開保育を終えて13日の午前は、公開保育当該保育園幼稚園の代表者と総括会議。実際の保育現場での学びは大きかったと口々に評価いただき、今後の開催の依頼もされるほどでした。

大阪からの講師たちにとっても、はらはらドキドキの保育体験、言葉や文化は違っても子どもの気持ちを受け止め遊びを楽しむ、保育の原点に立てた体験でした。
タイ日の保育教育者が互いに学ぶ機会として、今後も継続したいと互いに確認しあいました。

鉄鋼工場労組運営保育園にて。遊びを楽しむ親子

子どもの笑顔がはじけます

公開保育を終えて、先生方との意見交流会

絵本の贈呈(中段中央が松尾講師)