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2010年9月2日(木)

子育て支援センター第3回「こども学講座」好評のうちに終了

8月28日(土)、現代生活学部子育て支援センター「まつぼっくり」では、第3回「こども学講座」を開催しました。今回は、本学居住空間デザイン学科北浦かほる教授より「世界の絵本に見る幼児期の子ども部屋の意味―子どもの自立と空間の役割」のタイトルで行われ、保育士やこどもに関心をもつ方、30名が熱心に聴講しました。

子ども部屋は欧米では寝室として誕生時から与えられ、自律と親子の信頼関係を育む場所になっているが、日本では勉強部屋として与えられ、日本での個室の認識と使い方が問題であるとの指摘がなされました。

子どもの自律(自我の獲得、協調性の獲得)の発達にはひとりになれる空間が必要であるが、これは個室に限らず、屋内でも屋外でもつくることができ、空間を自分でコントロールする経験をもつこと、方法を学ぶことの重要性が強調されました。子ども部屋がなくても押入れを自分の空間にすることもできるし、デンマークの「森の保育園」では建物がなく、森を歩き、森の空間を子どもそれぞれが自分の空間として道具として利用している例など先生の豊富な海外での体験も紹介されました。

講義後半は1878年から2009年の「住まいの絵本」日本初版277冊、海外訳本275冊の分析結果として、絵本にみる幼児の寝室が、欧米では「自律とコミュニケーションを育む場」として描かれているのに対して、日本では幼児の寝室は見られず、ひとりになる機会も与えられていないことが、絵本に表れていることが紹介されました。

「子どもがひとりになれる空間や時間があることで、親子が共にいる空間や時間がより効果を発揮する」との先生のまとめは、私たち大人にもいえることではないでしょうか。また、先生から受講生全員に先生著書の『世界の子ども部屋』(井上書院)が謹呈されました。

受講生からは「欧米諸国と日本では子ども部屋のもつ意味がこんなにも違うのかとびっくりしました」「保育所でも何かあるといつも端の方の狭い場所に集まる子どもがいます。「行かないよ!」と声かけしてしまいますが、個人の空間を求めていたのかもしれません。ひとりひとりの時間や空間を大切にしたいと思います」など沢山の感想が寄せられました。日本の子育てや子ども部屋の意味を見直す大変良い機会となりました。

次回は11月13日(土)午後2時から本学食物栄養学科志垣瞳教授の「子どもの成長と食べることの大切さ」の講義が行われます。多数の方々のご参加をお待ちしております。

講演を行う北浦教授

北浦教授のプレゼンテーション