2025年12月26日(金)
「特殊講義(実践的中小企業経営)」で3名の経営者がパネルディスカッションを行いました
12月19日に実施された「特殊講義(実践的中小企業経営)」では、3名の経営者を講師にお迎えし、パネルディスカッションを行いました。登壇されたのは、介護事業を営む「ていくあい」の代表取締役・竹村ひとみ氏、障がい年金請求を支援する「しのぶ社労士事務所」の信夫将恵氏、そしてデザイン業を手がける株式会社epoの辻哲治氏です。
3名はいずれも奈良県中小企業同友会に所属し、同友会内に設置されている「障がい者共働委員会」のメンバーとして活動されています。講義の冒頭では、同友会において障がい者共働委員会が設けられている背景や目的について説明があり、その後、委員会への参加のきっかけや、児童養護施設への訪問活動の内容、さらには障がいのある方々との向き合い方について、それぞれの立場から語られました。
児童養護施設での活動については、家庭環境の影響により、親が働く姿を見たことがない子どもや、知的障がいなどを理由に仕事が長続きしない人がいる現状が紹介されました。一方で、障がいを「できない理由」として捉えるのではなく、一人ひとりの可能性を信じ、信頼し相談できる大人の存在を示しながら、できることを丁寧に積み重ねていく工夫によって、仕事への意欲や自己肯定感が育まれていくことが強調されました。
今回のフォーラムでは、講師である経営者が学生を指名し、意見を求めるという形式が採用されました。質問内容は、「介護分野の職場に学生アルバイトが集まりにくいのはなぜか」「働くとは何か」といった本質的なテーマで、学生たちは緊張しながらも、自身の考えを真剣に述べていました。
講義を通してあらためて認識させられたのは、経済経営学部の授業が、ある意味で「勝つための論理」を中心に構成されているという点です。商品をいかに売るか、GDPの低下をどのように捉えるかなど、企業や社会における競争優位を築く視点での議論が多く行われています。しかし、今回の講義では、それとは対照的に「弱い立場にある人に寄り添う視点」の重要性が強く示されました。
日頃の授業ではあまり触れることのない視点からのお話は、学生に新たな気づきと視座を与えたように思われます。このような内容は、キャリア教育の一環として今後さらに取り入れていく意義があるのではないかと考えさせられました。
