閉じる

カワグチ ヒロシ
川口 洋
文学部日本文化学科
タイトル 静岡県史 人口編
著者 静岡県史編さん委員会
担当区分 分担執筆
出版社 静岡県
出版年月 20210319
担当範囲 第9章 第2節 明治中後期の6種感染症罹患率・死亡率に見る都市村落間格差                       pp.355-387、総ページ数:843頁。
概要 都市蟻地獄効果が確認できる下限とみられる明治中後期に、都市村落間の6種感染症死亡率にどのような地域格差が観察できるのか、『静岡県統計書』に基づいて検討した。明治中後期の痘瘡、コレラ、腸チフス、ジフテリアの罹患率・死亡率は、安倍郡・有度郡よりも静岡市街・静岡市で高かったが、赤痢罹患率・死亡率は静岡市街・静岡市よりも安倍郡・有度郡で高かった。痘瘡は明治28年から、コレラは明治29年から患者の発生が途絶えた。他方、明治28年まで患者の少なかった赤痢は、明治29年から恒常的に流行して安倍郡で多くの犠牲者が発生した。そのため、静岡市街・静岡市における6種感染症死亡率の合計値は、明治28年まで安倍郡・有渡郡より高かったが、明治29年から都市村落間格差は縮小していった。19世紀末の静岡市では、本籍人口死亡率の0.2~2%を占める6種感染症死亡率の都市村落間格差の縮小と並行して、蟻地獄効果が解消していったと推測される。

閉じる