「帝塚山法学」創刊の辞

帝塚山大学法政策学部は、従来の法律学に政策的視点を加味した新しいタイプの学部として、平成九年四月に開設されたものである。ようやく一年を迎えようとしている今日、帝塚山大学法学会を組織し、ここにその機関誌「帝塚山法学」創刊号を上梓する運びとなった。本学部の理念については曽野教授の後掲論文に譲るとして、ここでは、先ず、学部教育の特色について一言することにしたい。

 本学部の創設に加わった当初の教員スタッフは一七名であるが、その中には、これまで大学教育に携わってきた者以外に、企業の実務家や地方自治体の職員であった人たち六名と外国人教員一名が含まれている。教員のこのような多彩な顔触れは、本学部が標榜する法と政策の研究教育にとって幅広い学問的視野を提供するものであって、それぞれの個性を尊重しつつ共通の目的に向かうための活力を生み出している。本学部の一期生として入学を果たした学生たちについても同様のことがいえる。われわれは、偏差値によって学生の資質を云々する考えには与しない。偏差値のある部分の輪切りによって均質の学生を確保することに汲々とするのではなく、これまでの成績に左右されない多様な意欲のある学生を受け入れ、その個性を尊重しつつ、その潜在能力を高めることに全力を傾注することこそ本学部の教育理念であると確信している。本学部では、面接によって可能な限り多くの学生の入学を図っているのも、このような考えに基づくものである。

 以上のことは、帝塚山学園の特色・校風にも合致するものである。「建学の祖」と呼ばれる故森礒吉先生は、学園の教育方針の一つに「個性が尊重され、生かされる教育」を挙げ、同時に、「教育者自身の個性も尊重されなければならない」とも述べておられる。この学園の特色・校風は今に受け継がれ、金森茂一郎理事長も、この個性尊重の教育はいままでの日本の教育の「画一性」と対比する考え方であるが、この特色を今再び確かめ、一層伸張したい旨の抱負を表明されている。このような考えこそ自由闊達な学風を担保するものであって、本学部もこれを推進することによって帝塚山学園全体の存在意義を高めることに貢献しうるものと信じている。

しかしながら、このような本学部の教育上の特色がその効果を十分に発揮するためには、個々の教員の研究活動が活発に展開され、優れた成果を挙げることが必要であることはいうまでもない。前述のように、本学部では理論と実務のそれぞれにその能力と経験を認められている教員を備えている。本創刊号はそのうち若干のものが本学着任後最初の研究成果を世に問うものであるが、学界からの忌憚のないご批判を仰ぎたい。続刊においても、わが国のみならず世界の学界と学問の進歩に貢献しうる研究成果を挙げるために、各員が一層の研鑽を重ねる所存である。

ここに改めて、帝塚山大学法政策学部に対する各界のご指導とご鞭撻をお願いする次第である。

 

平成十年三月

帝塚山大学法政策学部長

川 島 慶 雄

 

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