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2018年02月19日
内蒙古考古学最新成果学術報告会 「金の冠 銀のブーツ 遼代王妃墓の謎を探る」の開催について

内蒙古考古学最新成果学術報告会
「金の冠 銀のブーツ 遼代王妃墓の謎を探る」の開催について
2月25日(日)12:30~ 奈良県立橿原考古学研究所で

帝塚山大学(学長:蓮花一己 所在地:奈良市帝塚山7-1-1)の「『帝塚山プラットフォーム』の構築による学際的『奈良学』研究の推進」が、文部科学省の平成29年度 私立大学研究ブランディング事業(タイプA【社会展開型】)」に採択されました。

研究ブランディング事業の採択を受け、2月25日(日)、奈良県立橿原考古学研究所において、「金の冠 銀のブーツ 遼代王妃墓の謎を探る」と題し、本学がかねてより推進してきた「奈良学」の観点から、シルクロードにおける考古学の最新成果をもとに奈良と東アジア地域との関連を探る学術報告会を開催します。

内蒙古考古学最新成果 学術報告会「金の冠 銀のブーツ 遼代王妃墓の謎を探る」開催の趣旨

蕭氏貴妃(993薨去)墓調査の現地責任者として2015年から発掘を指導した内蒙古文物考古研究所の蓋志勇先生を招聘し、内蒙古での考古学の最新成果を発表する学術報告会を開催する。

中国では、発掘現場は国家の厳重な管理下に置かれており、海外からはなかなか現地の様子をうかがい知ることができない。本講演は、これまで未発表であった発掘現場を収めた写真等を紹介しつつ、小王力溝遼墓の全貌を初めて海外で明らかにするものである。

また、同時に、ガラスの分析を専門とする東京理科大学の中井泉教授にも登壇いただき、内蒙古博物院と共同で実施した蕭氏貴妃墓をはじめとする、遼代の貴族墓出土ガラス器の成分分析の調査結果についても初めて全容を報告する。(2016年~文部科学省科学研究費)

内蒙古博物院との共同調査実施の背景

内蒙古博物院の学術研究員でもある、本学 文学部 牟田口章人教授を調査団長に進められてきた中国内蒙古自治区での調査「リモートセンシング技術を用いた中国内蒙古自治区の遼代皇帝陵の同定と文化財調査」(2016年~文部科学省科学研究費 基盤C)で、中国内蒙古自治区にある内蒙古博物院の収蔵庫で昭烏達盟赤峰大営子にある遼時代初期の附馬贈衛国王墓(1953発掘)と興安盟代欽塔拉遼墓(1991発掘)の2墓より出土した染織類の調査を行ったことから、内蒙古博物院より同時期に発掘された蕭氏貴妃墓とその副葬品の共同調査・研究の打診を受け、これを受託した。

ガラスから示唆される遼と奈良との関連性

今回調査したガラス器の産地が、いずれもこれまで漠然と考えられていた西アジアや地中海沿岸地域ではなく、中央アジアだった可能性が極めて高いことを定量的に解明した。立体的な大型ガラス器は中国を始めとした東アジアでは製造ができず、いずれもイスラム諸国から南海貿易を経て中国に運ばれてきたことから、遼もこうした中国とイスラム諸国の交易品を入手していたと考えられてきた。しかし、今回の中井教授の分析により、中央アジアから草原の道を使って直接ガラス器が遼の都に運ばれた可能性が高いことが初めて示唆されたと言える。

中央アジアのガラス工房からは1021年に東大寺に施入された紺瑠璃壺と極めて似たガラス製の唾壺の破片が少なからず発掘されており、正倉院のガラスの伝来ルートの解明にも一石を投じる可能性がある。

蕭氏貴妃墓とは

2015年、中国内蒙古自治区林郭勒盟多倫(シリンゴル盟ドロンノール県)で発掘された小王力溝遼墓のうちM2墓は、墓室内で見つかった墓誌銘の蓋に「故貴妃蕭氏玄堂志銘」と刻まれた銘文から、統和11年(993)に薨去した遼王朝第6代皇帝聖宗の貴妃(王妃)が眠る墓であることが明らかになった。中国の考古学研究史上、遼時代の王妃の墓が科学的発掘調査により明らかになったのは初めてのことであり、同時に内部からは大量の副葬品も発掘された。国家文物局は小王力溝遼代墓の発掘を2015年度中国十大考古新発現のひとつに選定している。 

遼について

契丹族が築いた「遼」は中国の内蒙古自治区を本貫地とし、北は黒竜江省・遼寧省・吉林省・モンゴル国から更にロシア沿海州、そして西は中央アジアまで版図を広げた巨大な騎馬民族王朝である。栄えた時代は日本の平安時代にあたる(916-1125)。遼は強大な騎馬軍団を背景に南の宋を圧迫し、第6代聖宗の時代から宋により毎年巨額の和解金を贈られた。このため遼は当時、世界で最も豊かな国のうちのひとつであるとされている。また、契丹族は高貴な人が亡くなると、遺体を金銀で飾り立て豪華な副葬品を埋葬したので、近年中国で行われている発掘調査では、画期的な発見が相次いでいる。

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帝塚山大学   広報課

Tel:0742-48-9192  koho@jimu.tezukayama-u.ac.jp