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2018年11月06日
【公開講座】正倉院展特別公開講座を開催しました

第70回正倉院展(10月27日~11月12日)会期中の11月3日(土)、『正倉院展特別公開講座 「写された正倉院宝物」』を 東大寺総合文化センター(小ホール)で開催し、本学文学部の牟田口章人教授が講演を行いました。この講座は、 本学が奈良に立地する大学として、正倉院展の開催期間に合わせて毎年実施しているものです。 今回の講座では、今年の正倉院展に出品される宝物にちなみ、正倉院宝物に魅せられた明治の人々の軌跡を紹介しました。

正倉院宝物が一般の人々に公開されたのは、明治になってからのことでした。

明治5年(1872)、明治政府(文部省博物局)によって実施された近代日本最初の文化財調査「壬申(じんしん)検査」についての説明も行い、壬申検査の際に撮影された焼付写真とガラス原板は、我が国における現存最古の一括した文化財写真資料として国の重要文化財に指定されていることも説明しました。

また明治14年(1881年)、大蔵省の印刷局が発行した『国華余芳 正倉院御物(こっかよほう しょうそういんぎょぶつ)』についても解説しました。 これは、我が国の紙幣を印刷する技師たちが、海外から招聘した外国人技師の指導を得て制作したものです。江戸の版画と西欧の技術が融合したこの多色石版図集は、19世紀の日本の印刷技術の頂点を極めたもので美術的にもとても優れたものでしたが、一般にはほとんど知られておらず、幻の印刷物となったエピソードも紹介しました。

その上で、牟田口教授が所有する國華余芳の現物を会場で披露し、受講者はルーペで覗きながら、十数色を刷り重ねた作品に見入っていました。

講演終了後には、受講者とともに東大寺講堂跡を通り正倉院「正倉」外構を訪れました。そこでも牟田口教授から詳細な解説が行われました。 参加者からは、 「正倉院をめぐるエピソードが大変興味深くて面白かった」 「国華余芳の実物を見ることが出来て感動した」 との多くの声が寄せられました

講演する牟田口教授

国華余芳を閲覧する参加者

高校生に版画を紹介する牟田口教授

正倉院「正倉」外構現地にて解説