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2017年11月09日
正倉院展特別公開講座を開催しました

第69回正倉院展(10月28日~11月13日)中の11月3日(金)、「正倉院展特別公開講座」を奈良春日野国際フォーラム甍~I・RA・KA~で開催しました。この講座は、本学が地域貢献の取り組みとして、正倉院展の開催に合わせて実施しているものです。

今回は、本学文学部文化創造学科の牟田口章人教授が、「正倉院のガラス器」をテーマに講演。講義の後、東大寺の正倉院「正倉」外構を見学しました。

講義で、牟田口教授はまず、正倉院が奈良時代の創建以来、落雷や雨漏りなど幾多の危機に見舞われながらも、聖武天皇ゆかりの宝物が現在も良好な状態で残されていることは奇跡であると強調しました。

次に、長年正倉院を取材し撮り続けた映像を用いて、正倉院宝物約9000点のうち6点しかないガラス器について解説。第69回正倉院展に出展されている「緑瑠璃十二曲長坏(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)」は制作時期が不明とされていることを指摘し、濃緑のガラス器の表面に刻まれたチューリップの文様が11世紀以降に流行したことや中国・宋時代の南京大報恩寺で同形の長坏が発掘されたことから、11世紀に作られた可能性があると主張しました。

講義に続き、緑瑠璃十二曲長坏をはじめとする正倉院ガラス器のレプリカ5点を紹介。参加者は、ガラス器の表面をなでて手触りを確かめたり注意深く裏返したりしながら、異国情緒あふれる美しい模様に目を奪われている様子でした。

その後、正倉院を訪れて、牟田口教授は「正倉」外構を見ながら高床式校倉造りの構造について説明をしました。正倉は、屋根までの通し柱はなく一見不安定であっても約1200年倒れなかったことから、「人間の膝のように、地震の衝撃を受け止める柔構造をしている」と、奈良時代の土木技術力の水準の高さを解説しました。

今回の講座は、高校生から年配の方まで、幅広い世代の約60人が参加しました。参加者からは、「学校の授業では知ることができない正倉院の詳しい話が聞けてよかった」、「正倉院ガラスのレプリカに触れてみて、カットの手触りや重みを感じることができた」などの感想が寄せられました。

約60人を前に、正倉院ガラス器について解説する牟田口教授

正倉院ガラス器のレプリカを手に取る参加者

高校生もレプリカを鑑賞しながら、積極的に質問

正倉院「正倉」外構現地にて解説