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ピックアップ卒業論文 2013年3月卒業 人文学部日本文化学科4年 山根萌子さん

空想美術館「梅花」

私は、美術館や博物館によく足を運ぶのですが、その時にこの展示は見やすいなとか、私ならこの絵を先に持ってくるなという風に、自分の中で展示を組み立てていることに気が付きました。そこで、社会の多様なニーズに対応し、人々の生活にとって身近な存在である美術館や博物館で、自分でも展示を計画してみたいと思い、卒業研究で自分が好きな「花」をテーマに架空の美術館で展示を行うことにしました。

卒業研究では、企画書、展示パンフレット、ポスター、展示模型、ミュージアムグッズ、ワークショップ等、展示に必要な作業を文章や模型で表現しています。
私の「空想美術館」の企画展の見所は、尾形光琳と酒井抱一の「紅白梅屏風」です。3年の課題提出のときに江戸絵画について学び、琳派の作風に興味を持ったことが今回の卒業研究につながりました。この2つの作品を軸に「梅と日本人」を構成テーマに掲げ、展示会場を「絵画と屏風コーナー」、「小袖コーナー」、「工芸品コーナー」の3つに分けて、資料によって「梅」の表現が異なることや、作品が生まれた背景や文様の変化に迫り、日本人に古くから親しまれている「梅」が、私たちにとってどのような存在であったのかを知ってもらう構成にしました。

卒業研究のために、様々な美術館や博物館を参考にしましたが、思っていた以上にイメージを具現化することが難しく、実際に足を運んだりもしました。展示品をただ並べるだけでなく、どのようなストーリー(構成)で見せるのかを決めることに予想以上に時間がかかり、また目玉となる作品をどこに配置するのか、ストレスなく観覧してもらうための動線(順路)も悩みました。色々試行錯誤した結果、1階中央部分に、ガラスケースを設置することで空間のバランスをとりながら、絵巻の絵柄が綺麗に見れるように工夫しました。展示を見るだけでなく、観覧者の方に楽しんでもらえるよう、3つのワークショップスペースを設けたこともこの展示会の特徴の一つです。
美術館や博物館が好きで始めた卒業研究ですが、展示会を主催することの大変さを実感しました。作業前は観覧者の視点で考えていましたが、一連の作業を通して学芸員の視点に立って展示を考えることができたことが一番大きな成果だと思います。卒業研究を通して、美術館や博物館に対する認識や視野が広がりました。

私は、自分の国、日本についてもっと学びたいと思い日本文化学科に入学しました。日本文化学科は、歴史、文学、美術、芸能、考古学といった様々な分野が学べます。分野が多い分、1年生のときから色々なことに刺激を受けて興味を持つきっかけが多いと思います。その興味を持ったことを、文字だけの論文でなく、私のように模型を作ってまとめるなど、興味の追求方法も様々なので、楽しみながら学んでください。

2012年5月~
企画を考える。
  • 卒業研究で、空想の美術館を作ってみようと思い始める。
  • 「花」をキーワードに、どんな「見せ方」があるかを考える。

2012年8月~
資料集め
  • 大学の図書館で図録から「梅」に関する資料をひたすら探す日々…

2012年11月~
解説文の作成
  • キーワードを「梅」に決定。
  • 作者や年代、作品の特徴を一つ一つまとめていく。

2012年12月~
図録やミュージアムグッズ、模型作成
  • レイアウト作業では、美術館が完成していく様を実感。ミニチュアを配置しながら、美術館のレイアウトを考える。

2013年1月~
卒業研究提出
  • 1/22の提出日ぎりぎりまで模型の細かな微調整をして提出!

指導教員からのメッセージ

山根さんの卒業研究の素晴らしい点として、美術館をリアルに再現しているところが挙げられます。作品は展示スペースだけでなく、ミュージアムショップ、カフェ、トイレなども作り、さらに展示品の並べ方にも山根さんの工夫が随所に盛り込まれ、来館者がストレスなく見学できるよう設計されています。

また、模型だけでなく展示ポスター、ミュージアムグッズ、展覧会図録なども作成しました。展覧会図録は何度もデザインや文章を修正し、とても苦労していましたが、最終的には美術館で販売できるほどのクオリティの高いものに仕上がりました。

山根さんは忙しい中でも粘り強く卒業研究に取り組み、見事な山根美術館を造りあげました。完成した作品を見た時、私も実際に行ってみたいと思ったほどでした。山根さんの卒業研究は、作品としての完成度の高さだけでなく、後輩たちに新たな卒業研究の「カタチ」を示したところに大きな意義があったと思います。

山根美術館 館内図ワークショップデータ

「体験!!昔の衣装を着てみよう」

近世の家を再現し、その中で小袖を実際に着用し、当時の人になりきる。

「触ろう!!色絵月梅図茶壷のレプリカ」

江戸時代の色絵月梅茶壷のレプリカを作成し、触ってもらうことで文様などを知ってもらう。

「オリジナル屏風を作成しよう!!」

会場入りロに空白の屏風を設置。来館者が〈梅〉〈鳥〉〈竹〉などの絵がついているマグネットを屏風にはり、来館者によるオリジナル屏風をつくってもらう。



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