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ピックアップ卒業論文 2013年3月卒業 人文学部日本文化学科4年 東佐古由紀さん

「源氏物語のダイジェスト化」

私は、3年生の時から清水婦久子先生のゼミで、『十帖源氏』の翻刻を共同研究として行っていました。そこで、研究を進めるうちに、五十四巻もの長い本文を、十巻という短いものにして、本当の意味は通じているのか、という疑問が浮かび、また、『十帖源氏』の現代語訳は、まだされたことがないということを知り、「せっかく訳を作るのなら、自分で分かりやすい文章を作りたい」と思ったことが、『十帖源氏』をテーマに卒業論文を書こうと思ったきっかけです。

『十帖源氏』は、『源氏物語』のダイジェスト版として相応しいか―

卒業研究では、源氏物語全五十四巻を十巻にまとめた『十帖源氏』という江戸時代の版本を翻刻(読み解き解読)し、翻刻文を現代語訳に翻訳することで、『十帖源氏』が『源氏物語』のダイジェスト本として海外の人に薦めるのに相応しいかどうかを検証しました。
『十帖源氏』は、和歌を中心に書かれているため、全体的には省略されているような文になっていますが、重要な部分だけを残して大胆に本文を削り、かつ『源氏物語』本文の雰囲気は残したままというところが最大の魅力です。卒業研究では、『源氏物語』の「椎本」の巻の日本古典文学全集の全五十四巻の訳と『十帖源氏』の「椎本」の訳を見比べ、その訳の違いなどを比較し、また、省かれている部分を検証することで、『十帖源氏』にする際の省略の法則性を探りました。

和歌を中心にした『十帖源氏』は、和歌の訳が重要になります。それを2つの本と見比べ、さらに自分なりの訳を考えるといった工程を一巻分とはいえ行っていくことはとても大変で、振り返って考えると、とにかく時間がたつのが早く、時間が足りない!とゼミのメンバーで言い合いながら進めていったことが印象に残っています。しかし、清水ゼミのメンバーは、内容は全く別の内容であるにも関わらず毎回ゼミに出席し、全員でお互いにヒントを出し合いながら、助け合って進めていくことも多かったので、同じ分野を研究している仲間がいることの心強さを痛感するとともに、励みにもなりました。卒業論文を提出し終わってから、全員で打ち上げが出来たことも、良い思い出の一つです。

卒業研究を終えて、「4年間の総まとめ」というには、まだまだ足りないものであったなと感じています。物語の内容だけではなく、成立した時代背景、作者の心情など考察すべきことは山のように出てきます。最近はインターネットが普及していますが、あえて翻刻という紙と向き合う卒論の書き方をしたことで、平安文学の分野を研究したという達成感を得ることができました。また、何か一つのことを突き詰めていくには、相応の努力がいるということを実感しました。

卒業論文は文字数が決まっており、最初はそんなにも書けないと思っていましたが、書いているうちにむしろ「あれも書きたい!これも書きたい!」と思うようになり、後は時間の勝負になっていました。そういう意味では資料集めは重要になりますし、現地に赴けるような内容のものでしたら、是非とも本場の空気を体感して文を書くほうが良いと思います。そうすることで、より日本文化学科の学生らしい素敵な卒業論文が完成すると思います。

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2011年9月~
  • ゼミで『宇治十帖』の翻刻を共同研究ですることに。
  • 巻ごとに担当を分け、翻刻や絵巻の模写を行ない、研究を進める。

2012年4月~
  • 就職活動を行いながら、資料集めや資料作りに奔走。
  • 資料である『十帖源氏物語』の翻刻を自分たちで行う。

2012年8月~
  • 夏休みにも他の源氏物語の訳がどのようにされているのか考察するために、図書館に足を運ぶ。

2012年11月~
中間発表。
  • 学外実習で宇治(源氏物語の後半部分、宇治十帖で特に取り上げられている場所)を見学。
  • 源氏物語ミュージアムなど、源氏物語に所縁のある場所を尋ねることで再び刺激を受ける。

2013年1月~
卒論提出。
  • ゼミのみんなで打ち上げへ!

指導教員からのメッセージ

2年生の文献演習では竹取物語の場面をわかりやすく説明してくれたのが印象的でしたので、東佐古さんが研究テーマに源氏物語を選んでくれたのはとてもうれしかったです。
ゼミの共同研究として、江戸時代の木版本「十帖源氏」を解読した中で、東佐古さんは、「十帖源氏」がダイジェスト版であることに注目し、どの程度のダイジェスト化なら源氏物語の魅力を損なわずに伝えることができるのかという困難な問題に取り組んでくれました。
担当した椎本巻を翻刻した上で独自の口語訳を作り、研究者による原文の逐語訳や、同じ場面が書かれた田辺聖子のダイジェスト版とも比較分析し、わかりやすく伝えるためにどう工夫すべきかを考察し、「十帖源氏」の口語訳に簡単な説明を補うことでわかりやすく伝えられると結論づけてくれました。おかげで「十帖源氏」の魅力を再認識できましたし、私も海外翻訳プロジェクトチームに自信をもって発信できます。お疲れ様でした。
東佐古さんは、文化を社会に伝える仕事をしたいからこのテーマを選んだと話してくれましたね。
その気持ちを忘れず、卒業研究で得た根気と経験を、ぜひ仕事に活かしてください。



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